「わけわかんねえ!」小学生を苦しめた『ソロモンの鍵』 戦略性の高いパズルゲーム
1986年7月30日、テクモ(現:コーエーテクモゲームス)からファミコン版『ソロモンの鍵』が発売されました。丁寧に作り込まれた、高い戦略性を求められるパズルゲームで、当時の小学生たちがクリアするにはかなり難易度が高い作品でした。
ファミコンを代表する名作パズルアクション
1986年7月30日はテクモ(現:コーエーテクモゲームス)からファミコン版『ソロモンの鍵』が発売された日です。石のブロックを出したり消したりして敵をかわし、道を作ってマップを攻略していく戦略性の高さが魅力のタイトルです。マップ数も全50ステージと非常にやりごたえがある名作パズルゲームでした。友達から借りたはいいものの、さっぱりクリアできずに攻略本を買ってしまった経験を持つライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
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1986年の夏休み、筆者は『ワルキューレの冒険』相手に悪戦苦闘を重ねていました。先に進む方法がまったく分からず、攻略本を待つことにしてとりあえず放置することにしたのですが、次にどのゲームを遊ぶのかが問題となってしまったのです。ファミコンのカセットはそう簡単に買ってもらえるものではありませんし、既に持っているカセットは遊びつくしてしまっています。こうなると手段はひとつしかありません。そう、カセットの貸し借りです。
現代のようにスマホアプリや配信ダウンロードが主流となった時代ではなかなか難しくなっていますが、当時では友達同士でのカセットの貸し借りはごく当たり前のことでした。
そのとき、ある友達に何か面白いカセットはないかと聞いたところ、貸してくれたのが『ソロモンの鍵』だったのです。ただしその友達からは「難しすぎてクリアできない。どうすればいいのか全然分からない」と釘を刺されていました。ちょうど『ワルキューレの冒険』で苦労していたのでちょっと怖かったのですが、家に帰りプレイしてみたところ、難しさの種類がまるで違うとすぐに理解できたのです。
『ソロモンの鍵』の難しさは、パズルゲームとして丁寧に作りこまれている部分にありました。主人公のダーマが普段使える魔法は石のブロックを出したり消したりする「換石の術」のみ。この魔法を駆使して敵をかわし、マップ上の鍵を取って扉に到達すればクリアという、一見シンプルそうに見えるゲームのなかには、小学生にとっては手ごわすぎる戦略性が隠されていたのです。