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「わけわかんねえ!」小学生を苦しめた『ソロモンの鍵』 戦略性の高いパズルゲーム

カセットは返したのに攻略本は買った

必死にクリアを試みるも…(画像:写真AC)
必死にクリアを試みるも…(画像:写真AC)

 数面のマップをクリアした筆者は、「なんだ、簡単じゃん」と『ソロモンの鍵』を多少なめてしまったのを覚えています。しかしその数十分後には、「なにこれ! わけわかんねえ!」と加速度的に難しさを増していくマップ構造に、舌を巻く羽目になりました。

 敵を直接倒せる「火球の術」は使用できる数が限られており、温存したいのは山々でしたがどうしてもすぐに使い切ってしまい、じきに敵に追い詰められてやられてしまうこともしばしばでした。また、隠しアイテムがマップ中のいたるところに存在しており、これをどう集めるのかも考えなければいけませんでした。

 このゲームはかなり手ごわい。そう判断した筆者は、秘密兵器の投入を決断します。そう、方眼紙です。こうして『ソロモンの鍵』のマップ全マスをひとつひとつ調べるという無謀な試みが幕を開けてしまいました。

 最初の方のマップこそ作業は順調に進んで行ったのですが、難易度が上がってくると調査も容易ではなくなります。そして何より、借り物のカセットなのでタイムリミットもあるのです。よく考えたら素直に「難しくて無理だった」と返すのが利口だと思いますが、当時の若さと情熱、そして夏休みと言う二度と手にすることはできない貴重な時間は、無謀な挑戦を可能にしていたのです。
 
 しかし結局、やはり時間が足りずに10数面を調べ終えた段階で、カセットを返す日がやってきてしまいました。もう少し時間があれば……とも思いましたが、小学生個人での攻略となるとおそらく数か月はかかってしまったでしょうし、無念ではありましたがどうにもならなかったのです。

 その後、『ソロモンの鍵』の中盤以降がどうなっているのか知りたくて、攻略本だけ買ってしまいましたが、そんなに役に立つ内容ではなかったことだけ妙に記憶に残っています。

 筆者は『ソロモンの鍵』に6つ存在するエンディング、そのいずれにも到達できませんでしたが、あの夏の挑戦は、今となっては懐かしい思い出となっています。

(早川清一朗)

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