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『ばけばけ』蚊を殺すだけで怒るヘブン先生 小泉八雲の殺生嫌いは「想像以上に徹底してた」「蛇に蛙、猫も?」

連続テレビ小説『ばけばけ』第8週では、ヘブンがトキが蚊を殺そうとしたことに対し、かなり怒る場面もありました。

家族にも徹底していた殺生嫌い

『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツがモデルの物語です。

 第8週では 未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」の女中として働く主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、部屋のなかの蚊を殺そうとして「殺生」はダメだと怒られる場面が描かれました。トキは38話で、ヘブンが蚊を殺さずに刺されるのを避ける手段として、蚊帳を用意しています。

 実際、ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンさんはかなり殺生を嫌ったそうで、彼の長男・小泉一雄さんは書籍『父小泉八雲』で、

「蟻を踏み潰してさえ私は叱られた。蝉、蜻蛉、バッタを捕えたのを父に見せさえすれば必ず放してやれと云って逃がさせられた。禽獣、虫類、草木に対して、父は自身のみならず、家族全員に親切であるように強いた人である」

 と、ハーンさんからかなり厳しく育てられたことを語っています。

 ハーンさんは気温が高く虫の多いアメリカ南部のルイジアナ州ニューオーリーンズにいたときも、蚊やハエ、アリを払いはしても殺すことはありませんでした。ハーンさんは仏教について長年学んでおり、「自分の都合や便利のために他の生物を苛めるのは不正である。蠅も蚊も皆同じように生存の権利がある」(ハーンさんの教え子、田部隆次さんによる評伝『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』から引用)という考えを持っていたようです。

 また、ハーンさんとトキのモデル・小泉セツさんが1891年6月に引っ越した松江の北堀町の武家屋敷(現:小泉八雲旧居)には「蛇と蛙」がおり、セツさんが残した手記『思い出の記』には、

「(屋敷内には)蓮池がありまして、そこへ蛇がよく出ました。(ハーンは)『蛇はこちらに悪意がなければ決して悪い事はしない』と申しまして、自分の御膳の物を分けて『あの蛙取らぬため、これを御馳走します』などと云ってやりました。」

「(ハーンは)『西印度にいます時、勉強して居るとよく蛇が出て、右の手から左の手の方に肩を通って行くのです。それでも知らぬ風をして勉強して居るのです。少しも害を致しませんでした。悪い物ではない』と云っていました。」(ハーンさんは2年ほど西インド諸島の仏領マルティニーク島に住んでいた)

「蛙だの、蝶だの、蟻、蜘蛛、蝉、筍、夕焼けなどはパパの一番のお友達でした」

 と語られています。

『ばけばけ』の脚本担当・ふじきみつ彦さんは、この「ハーンさんが蛇が蛙を食べないように自分の食事を分けた」というエピソードをもとに、本作のナレーション担当を蛇と蛙(演:阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子、木村美穂)にしたことを各種インタビューで語ってきました。

 また、『思い出の記』にはハーンさんが北堀町の武家屋敷に引っ越す前に、子供にいじめられていた子猫を助け、「おゝ可哀相の小猫むごい子供ですね――」と引き取って飼い始めたことも記されています。

 蚊を殺すだけで怒るヘブンに対し、視聴者によっては「怖い」という意見もありましたが、今後は蛇や蛙、子猫に優しく接する彼の姿も見られそうです。ヘブンの好感度は、これからどんどん上がっていくのではないでしょうか。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『思い出の記』(ハーベスト出版)

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です

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