声優・鈴置洋孝氏の命日 『機動戦士ガンダム』ブライトなど多くの印象深い役
2006年8月6日、声優・鈴置洋孝氏が肺がんにより56歳で亡くなりました。『機動戦士ガンダム』のブライト・ノア、『聖闘士星矢』の紫龍、『るろうに剣心』の斎藤一などアニメで数多くの役を演じ、人々の心にその声を遺しました。
あなたの鈴置氏は誰ですか?
8月6日は2006年に肺がんにより56歳で逝去された声優・鈴置洋孝(すずおき・ひろたか)氏の命日です。『機動戦士ガンダム』のブライト・ノア、『聖闘士星矢』の紫龍、『るろうに剣心』の斎藤一などアニメで数多くの印象的な役を演じる一方、吹替や舞台でも活躍。自ら演劇のプロデュースを行うなど精力的な活動を続けていたなかでの、突然の訃報でした。幼少時から鈴置氏の声に親しんできたライターの早川清一朗さんが追悼します。
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あなたにとっての鈴置氏は、誰でしょうか?
記事を書こうと鈴置氏の資料を引っ張り出し、記憶を探っていく作業中、筆者は鈴置氏の声が自分のなかで無限に広がっていく感覚を覚えました。記憶のなかにある鈴置氏が演じたキャラクターはすさまじい数にのぼり、またその多くが極めて印象深い存在として刻み込まれていたのです。
『無敵鋼人ダイターン3』の破嵐万丈で見せてくれた明るさとひょうきんさ、そして心の奥に悲しみを秘めた演技。
『機動戦士ガンダム』のブライト・ノアが絶望的な状況のなかでたびたび見せた冷静さと激情。
『るろうに剣心』の斎藤一の喉から絞り出された、自らが信じる正義を貫く想い。
その他にも『聖闘士星矢』の龍星座の紫龍や『機動警察パトレイバー』の内海課長、『ドラゴンボール』の天津飯など、時代を代表するキャラクターや超個性派キャラクターを無数に演じてきた鈴置氏の声は、未だに多くの人のなかで共有されています。
鈴置氏の印象深い声と演技の幅の広さが活躍した世界は、アニメだけにとどまりません。洋画の吹き替えではトム・クルーズやメル・ギブソン、ジョン・トラボルタなど多くの名優を担当しています。
ゲームの世界でも多くの声を演じていますが、逝去後にも過去に保存されていた音声を使用し、ほとんど毎年のようにライブラリ出演が続けられています。特に「スーパーロボット大戦」シリーズでは破嵐万丈役として登場する際には、保存されている声と他のキャラクターの声の組み合わせが違和感なくつながるように音声が作り上げられることもしばしばです。現場スタッフの鈴置氏への想いがそうさせているのでしょう。