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シャーリーズ・セロン主演『オールド・ガード』、不死に向き合う人間臭さが胸を打つ

原作者も脚本を担当、男性同士のキスシーンにも注目

原作コミック『THE OLD GUARD #1』 (C) Image Comics
原作コミック『THE OLD GUARD #1』 (C) Image Comics

 各々の不死メンバーの歴史は深く掘り下げられませんが、人間ドラマとして優れているのは確か。同作では原作者のグレッグ・ルッカが脚本を担当しており、コミックそのものを忠実に実写化させています。コミックには映画で扱われていない続編の物語があり、映画の終わり方から考えても続きがあるのは明らかでしょう。

 また、同作では男女の恋愛が描かれていませんが、実は、配信後にネットなどで話題になったのはそんな「恋愛」に関するシーンでした。セロン演じるアンディの仲間として登場する、かつて十字軍で敵同士だったにも関わらず運命の恋人となった男性2人、ジョーとニッキーがキスをするシーンです。

 昨今の映画ではこういったセクシャルマイノリティに関連したシーンは話題になることが多いですが、今作ではグレッグ氏がジョーとニッキーのキスシーンを脚本から削らないよう監督に約束させ、実現させたという逸話があるほど、この作品の中で表現すべきテーマのひとつだったといえるでしょう。キスシーンを演じた同性カップル、ジョーとニッキーは注目度を高めています。

 さらに、「不死」と向き合う姿がよく描かれているのが、不死身となってまだ200年あまりの、ブッカーというキャラクターです。チーム内では新参者ですが、愛する人との別れや、孤独や葛藤について、作中で新しくチームに加わる女性キャラ・ナイルに話して聞かせるというシーンがあります。

 他の不死者とは違い、まだ不老不死を受け入れられずにいる描写に人間臭さを感じさせます。「不死」という能力以上に前に出てくる、あまりにも人間らしい、切なく苦しいドラマは、近年のアメコミ映画のどれとも似通っていないテーマとして新鮮に受け止めることができます。

 原作者が脚本を手掛けていることもあり、作品の根底にあるテーマを大切にしつつ、アクション映画としてのクオリティも高めているという点が、大きな注目を集める要因となっているのでしょう。

(大野なおと)

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