さすが俺たちのセガ!『ファイティングバイパーズ』エッジが効いた格ゲー
キャラクターがアーマーを装着している
筆者が選択したキャラクターはハニーというコスプレイヤーでした。いまでこそコスプレイヤーは市民権を得てタレントとして活動していますが、当時は一部の人間がこっそりイベントだけで活動していたような存在でした。そんな時期にコスプレを前面に押し出したキャラクターを登場させたのは、さすがセガ、それでこそ俺たちのセガだ、エッジが効いてるぜと称賛するしかありません。
それはさておき、少しプレイをしてみたところ、『ファイティングバイパーズ』は今までの格闘ゲームにはない要素が存在していることに気付きました。それがアーマーです。キャラクターはそれぞれアーマーを装備しており、ガードばかりしているとアーマーを削られ、ゲージがなくなったところにアーマー破壊技を受けると破壊されてしまいます。アーマーを失うと受けるダメージが増えてしまうため極めて危険なのです。とはいえ筆者が使っていたハニーは、アーマーを失うと下着姿になるギミックが仕込まれており、これ見たさにわざとアーマーを破壊させることもしばしばでした。当然勝率は悪かったのですが、筆者はまだ若かったので仕方ありませんでした。
ただ、『ファイティングバイパーズ』はキャラのバランスが悪く、対戦ツールとしては少々厳しいタイトルではありました。また、CPU戦では超反応の投げを喰らうことが多く、気合を入れないと先に進むのも難しいため、気付けば他のタイトルに押され、いつしか姿を消してしまったのです。
それでも翌1996年の夏、セガサターンで『ファイティングバイパーズ』が発売されたとき、筆者は速攻で買いに走りました。アーケードでは十分練習を積む時間が取れなかったという理由に加え、隠しキャラとしてペプシコーラの擬人化キャラクター「ペプシマン」が登場することが予告されていたからです。当時、ペプシマンはTVCMにしばしば登場する人気キャラクターで、これがゲームにプレイアブルキャラクターとして登場するというのは、かなりのインパクトがありました。
無事『ファイティングバイパーズ』を入手した筆者はしばし練習に取り組みましたが、残念ながら周囲に対戦相手がおらず、情熱の矛先をどこにも向けられずにやがて他のタイトルをプレイするようになりました。今のようにネットで対戦相手とつながれる時代であれば、色々状況は違ったのでしょう。今の対戦格闘ゲーマーが本当にうらやましい。がんばって、自分たちの世界を守りつつ、さらに押し広げていってほしい。心からそう思います。
(早川清一朗)