漫画『JKからやり直すシルバープラン』 崖っぷちヒロインは作者の実体験から誕生?
人生をやり直したいと思うことはありませんか? 誰もが憧れる“やり直し”チャンスを得た孤独な中年女性が高校時代にタイムリープ! 本当の幸せをつかむために奮闘するマンガ『JKからやり直すシルバープラン』はどうやって生まれた作品なのか……原作者であるイム・ダリョンさんにお話を聞きました。
激しいスランプから生まれた物語

誰だって叫びたくなるほどの人生の失敗をひとつやふたつ、持っているのではないでしょうか。Webマンガ雑誌「コミックヴァルキリー」にて連載中の『JKからやり直すシルバープラン』のヒロイン、小百合もまさにそのひとり。バブル崩壊により孤独なホームレス生活を送る彼女は、人生の汚点である高校時代にタイムリープして2度目の人生を歩んでいきます。
“後悔を糧に生き抜くしかない”と語る、原作者のイム・ダリョン(林達永)さんにお話を聞きました。
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ーーイム・ダリョンさんが創作活動を始めたきっかけについて教えて下さい。
イム・ダリョンさん(以下、敬称略) 中学の時に韓国で友達と一緒にアマチュア創作サークルを結成し、これを元にした制作スタジオ法人「アートリムメディア」を設立しました。日本では2000年ごろから活動していますが、もう20年になるんですね。僕の作品を読んでくれる読者がいるということは、目頭が熱くなるぐらい感激です。

ーー今作の物語は、どのような着想から生まれたのでしょうか?
イム・ダリョン 激しいスランプです。歳をとると、流行や最新の面白さを作品に溶け込ませることができません。さらに会社を運営する立場上、どうしても多作を求められ各作品の密度が下がり、打ち切りになったこともあります。“自分のなかの全てが枯渇した”という、今作序盤でホームレスになっている小百合と同じ心境でした。そんな状況で最後のひと頑張り、ひと足掻きといいますか、自分では遺作のような気持ちで描き始めた作品です。
ーーストーリー作りにおいて、心がけていることはありますでしょうか?
イム・ダリョン 今までの僕の作品は、僕個人の趣味趣向が強く出ている作品がほとんどでしたが、ひとりで暴走せずにヒロイン・小百合と読者さんと一緒に歩む、という感覚で作品を書くことですかね。過去の高慢だった自分を反省するという要素は、やっぱり僕の物語でもあるなと。