実はあの人気俳優も 「ウルトラ」シリーズを彩った「人外ヒロイン」という難役の系譜
子供が見るものと侮ることなかれ、「特撮ドラマ」は有り得ない非現実なので、例えば、初めて怪物を見たときに人はどんな反応をするのか? リアルが分からない演技に悩む役者は多いそうです。
エリーは役者としての原点でした

「ウルトラ」シリーズは、全ての作品にヒロインがいます。そのなかには、ちょっと変わった、「人間っぽいけど人間じゃないヒロイン」もいました。演じたのは、まだ経験の浅い俳優でしたが、皆、難しい役を好演し、現在も活躍されています。
ドラマやTVCMでもおなじみの俳優、満島ひかりさんは、『ウルトラマンマックス』(2005年)で、アンドロイド「エリー」を演じました。エリーは、怪獣防衛チーム「DASH」のオペレーターです。機械なので、常にクールで人の心情を読むことに疎いのが特徴でした。しかし、物語が進むにつれ、隊員たちとの交流や巻き起こる事件を通して、徐々に人間らしい感情や思いやりの心が芽生えていく姿が描かれます。
当時20歳の満島さんは、アイドル活動を終えたあとの転換期で、このエリー役は俳優の道を切り開く大きなきっかけになりました。「ロボットらしい動きが分からなくて悩んだ」と話すように、抑揚のない話し方、まばたきを抑え、表情を動かさないなど、感情を出さない演技に苦心したそうです。
そのような非生物が、徐々に人間の感情を学び、人間らしい表情が芽生えてくるという、高度な演技力が求められましたが、満島さんはこれらを独学で演じたそうです。その高い演技力もあってか、ウルトラファンからは、「エリーはシリーズ屈指の名キャラ」と評する人も多いそうです。
●「私は……マナ」
『ウルトラマンギンガS』(2014年)で、宇宙人の手先「アンドロイド・ワンゼロ/マナ」を演じたのが、最上もがさんです。当時25歳で、アイドルグループ「でんぱ組.inc」のメンバーとして人気を集めていた時期でした。
作中では、地球侵略を狙う「チブル星人エクセラー」に操られるアンドロイドとして登場します。最初は人間の敵で、自分の感情よりも命令を重視していたワンゼロに、命の尊さや優しさといった心が芽生え、人間から「マナ」という名を与えられるなど、物語のなかで印象的な変化を見せるキャラでした。最上さんも、「ワンゼロからマナになってゆく変化を見て欲しい」とコメントするほど、機械的な非生物と人間の違いの演じ分けは難しかったそうです。
登場回数は多くないものの、ミステリアスな雰囲気とショートパンツの衣裳が話題となり、キャラクター衣装のまま撮影された公式写真集も発売されました。さらに翌年の映画『ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!』にも登場し、マナの、その後の姿が描かれています。

