『OVERMANキングゲイナー』本当に富野監督作品?突如始まったダンスにポカーン
2002年9月7日、富野由悠季氏総監督によるサンライズ制作のロボットアニメ『OVERMANキングゲイナー』が放送開始されました。「皆殺しの富野」との異名を奉る富野総監督の、意外なコミカル路線に驚かされます。
「これ、本当に富野監督なの?」
2002年9月7日は、ロボットアニメ『OVERMANキングゲイナー』(以下、キングゲイナー)が放送開始された日です。総監督は『機動戦士ガンダム』など多数の名作ロボットアニメを手掛けた富野由悠季氏。 過酷な環境から新天地を目指す「エクソダス」に参加した人々とそれを妨害しようとする勢力の間で起こった戦いと、人間模様を描いています。設定だけを見ていると悲壮な作品に思えますが、実際にはオープニングから登場キャラクターやオーバーマンたちが踊りまくる、エンターテイメント性の高い作品として注目を浴びました。放送当時、友人と一緒に観てアナ姫やオーバーマンのダンスにあっけにとられた記憶を持つ、ライターの早川清一朗さんが回想します。
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筆者にとって、富野由悠季氏は物心つく前から素晴らしい作品を次々と作り上げ、今の自分の一部を形作ってくれた大恩人です。代表作も『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』など、名前を挙げていけばキリがありません。
また、富野氏は「皆殺しの富野」との異名を奉るほど大量に人が死ぬ陰惨なものが多く、それが魅力でもありました。小説『オーラバトラー戦記』や『リーンの翼』も読みましたが、一切遠慮のない残虐描写ぶりは、まだ学生だった筆者にはかなり刺激が強いものでした。
そんな富野氏が2000年の『ターンAガンダム』以来の新作を総監督として手掛けるというのですから当然見るに決まっています。ただ『キングゲイナー』はWOWOWの有料放送だったため、当時の筆者は見る環境がなく、友人に頼んで録画しておいてもらうハメになったのです。放送開始後は「2ちゃんねる」などを極力見ないようにしてネットからの情報を断ち、極力フラットな気持ちで『キングゲイナー』を見られるように心がけ、友人宅を訪れるタイミングをうかがい、ついにその日がやってきたのです。
『キングゲイナー』を見る直前、友人からは「すごいぞ?」と言われたのを覚えています。そして何がすごいのか、その理由は数十秒後に、簡単に理解できたのです。