マグミクス | manga * anime * game

『OVERMANキングゲイナー』本当に富野監督作品?突如始まったダンスにポカーン

敵も!味方も!人も!ロボも!みんなで踊る!

 しれっとした顔で主人公のゲイナーがヒロインのサラとダンスを踊り、サラを背中に載せてスケーティングを始めたとき「いったい俺は何を見ているんだ」と度肝を抜かれました。さらにはアナ姫をはじめとする登場人物たちがモンキーダンスを踊りまくり、挙句の果てには敵味方のオーバーマンまでも踊り出し、「ああ、この作品はこういう路線で行くのか……どういう路線だろう」と、いつものようなダーク路線を想像していた筆者は、コミカルな路線の富野総監督という方向性が一瞬分からず、戸惑ってしまったのです。

 しかし思い返せば、富野総監督は『戦闘メカ ザブングル』などコミカル路線の作品も手掛けています。別に不思議なことではありませんでした。

 主題歌の「キングゲイナー・オーバー」は作詞が井荻麟こと富野由悠季総監督、作曲が田中公平氏、ボーカルは福山芳樹氏と、盤石の構えが取られていました。非常に乗りが良く、確かに思わず踊り出してしまいそうな名曲です。

 ただ、当初はもっとシリアスな作品で、キャラクターの表情もシリアスなものしか用意されていなかったそうです。後に富野総監督はインタビューで、自分が出した歌詞に対して、田中公平氏がものすごい曲を出してきた。あれに応えるにはオープニングの絵コンテで田中氏を黙らせるようなものを作るしかない。そういった理由で一気にコミカルな路線へと舵を切ったことを明かしました。曲ひとつで作品全体の雰囲気を変える力をもつ田中氏と、それに応じる富野監督、どちらもクリエイターとして恐るべき存在と言わざるを得ないでしょう。

 作品自体も、新天地を求めて集団で移動する「エクソダス」という過酷な状況下をたくましく生きる人々の人間模様を中心に描かれており、骨太でありながら愉快という絶妙なバランスが保たれていました。特に17話「ウソのない世界」で、敵の策略によりうそをつけなくなってしまった主人公、ゲイナーの取った行動は必見です。この1話だけでも、十分伝説と呼べるだけの作品と言えるでしょう。

『キングゲイナー』から18年が経ちましたが、富野総監督も田中氏も、いまだ健在です。果たしてこれからどんなものを生み出してくださるのか。今もまだ、楽しみでたまりません。

(ライター 早川清一朗)

【画像】恐ろしい”異名”を持つ富野監督の作品

画像ギャラリー

1 2