風呂上がりに猫が体を擦り付けるのはナゼ? でっかい生き物を想像して「アーッ!」
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。お風呂上がりに、匂いを付け直すために必ず寄ってくる愛猫。その理由を想像してみたところ……。
風呂上がりに猫が寄ってくる理由

漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。
お風呂上がりに必ず寄ってくる愛猫。自分が猫サイズ、比較すると人間サイズの怪獣に飼われていること想像してみると……?
* * *
風呂上がりは猫が寄ってくる。
風呂から上がってぼーっとしていると、猫が寄ってくる。ぐりんぐりんごりんごりんと体を押し付けてくるのだが、これは自分の匂いを付け直しているそうだ。こちらにとってはハッピーねここねこねタイムなので一向に構わないのだが、猫にとってこの時間ってなんなのだろうか。義務みたいに毎日毎日やってくるので、そんなに……? と思わなくもない。
想像力の限界なので、例の人間大好きな巨大怪獣に登場してもらおう。彼らは意思疎通できないし愛情表現の仕方も人間とはまったく違うが、人間を愛し飼育している極めて奇特な生き物だ。自分はその一匹に飼育されている。
こちらからは彼らの見分けがあまり付かない。自分を飼育している怪獣が特定できないと困る。他の怪獣は私の知っている怪獣ではないので、信用度が低いのだ。追いかけられて執拗に高い高いをされたり無暗に吸われたり、高い声で何ごとか言われ続けたり、場合によっては殴られたりするかもしれない。とても嫌だ。それに食事を強請る相手はちゃんと分かるようにしておかないといけない。なので、私は私の怪獣に、こっそり名札を付けておくことにする。これで大丈夫だろう。しかし、なんと怪獣には毎日全身砂浴びをする習慣があり、その際名札はぺろっと剥がれてしまうのだ。これは大変だ。砂浴びが終わったら、すぐに怪獣に名札を貼りに行かなくては! まったくなんという厄介な生き物だろう!
なるほどなんとなく分かった。
自分が猫の匂いをつけていることによって猫が安心するのだとすれば、その儀式に付き合うべきだろう。それに前述した通り、もとよりただのハッピータイムなので、全然問題はないのだ。
(迷子)