高い難易度の『デジタル・デビル物語 女神転生』悪魔を仲間にするという背徳的な快感
1987年9月11日、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からファミコン用カセット『デジタル・デビル物語 女神転生』が発売されました。攻略本に頼らなければクリアが難しい、難易度の高いゲームです。
「女神転生」シリーズ第一作
1987年9月11日は、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からファミコン用カセット『デジタル・デビル物語 女神転生』(以下、女神転生)が発売された日です。その後膨大な作品群が発売された「女神転生」シリーズの記念すべき第一作で、悪魔の召喚や合体、パーティバトルなど、基本的なシステムは本作の時点で確立されていました。あまりの難しさに投げ出しそうになりながらも、攻略本に頼ってどうにかクリアしたライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
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最初に『女神転生』の存在を知ったのは、ファミコン雑誌のどれかだったと思います。原作は小説で、アニメがあって、悪魔を呼び出して一緒に戦うという情報が書かれていたような記憶があります。
この時代、悪魔を味方にして戦うという発想は、ファミコン少年たちにとってはまだ斬新なものでした。現代のように「女神転生」シリーズが大量に作られ、「ポケットモンスター」シリーズや「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズなどモンスターを味方にして戦うゲームが当たり前に遊ばれている状況からは想像できないかもしれませんが、悪魔やモンスターは倒すだけの存在だったのです。
面白いゲームをたくさん作っているナムコが、またすごいものを出してきたに違いない。当然興味を惹かれましたが、残念ながら子供の身ではそう簡単にカセットを買うことはできません。欲しいカセットがあるならば、親にねだるか小遣いを少しずつためておくか、お年玉に頼るほかありませんでした。
そして1987年には、『女神転生』にとって恐るべき強敵が控えていたのです。それは社会的ブームを巻き起こした『ドラゴンクエストIII』(以下、ドラクエIII)でした。当初、『ドラクエIII』は12月発売予定となっており、運が良ければクリスマスプレゼントとしてねだることもできますが、無理な場合に備え、小遣いを貯めておく必要がありました。熟慮の末、『女神転生』は見送ることにしたのです。