【漫画】小学生と大人「15分」の違いがエグい!「なんでドッジボールできるの?」
大人にとって「15分」という時間はあっという間ですが、小学生にとってはちょうど学校の休み時間の長さ。小学生はこの短い時間で、どうしてドッジボールができるんだろう……。コハラモトシさんによる、素朴な疑問を描いたマンガが反響を呼んでいます。
大人と子供で時間の感じ方・使い方が違う?
大人にとって「15分」という時間はあっという間ですが、小学生にとってはちょうど学校の休み時間の長さと同じ。小学生はこの「15分」という時間で、どうしてドッジボールができるんだろう……。
この素朴な疑問を、コハラモトシさん(@kohara_motoshi)がマンガに描き、『時間の使い方』としてTwitterで公開すると、読者から「同じこと考えてた」「短い時間でいかに遊ぶかの全力っぷりがすごかった」「濃厚な1日を送っていた小学生時代の時間の使い方は次元を超えてる」などの共感の声が多くあがり、大きな反響がありました。
作者のコハラモトシさんに、お話を聞きました。
ーーコハラモトシさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
僕は、子供の頃から漫画家を目指していたわけではありませんでした。25歳くらいの頃、マンガを描いていた友人に、雑談のなかで自分の考えを話すことがあったのですが……「こんなストーリーのマンガはどうかな?」と、僕が友人にアイデアを提供するつもりで話をした時に、「それならいっそ、そのストーリーを自分で描いてみたら?」と言われたのです。
マンガを読むことは好きだったし、友人が描いている姿を見て描くことにも興味がわき始めていたので、物は試しとやってみることにしました。分からないことだらけで、めちゃくちゃ大変な作業でしたが……。元々、絵を描くのは得意だったのと、デザイン科の高校に通っていた経験もあり、なんとか独学で描き上げることができました。その後、紆余曲折あるのですが、長くなるので割愛しますね(笑)。
ーー『時間の使い方』のエピソードをマンガに描いて公開しようと思ったきっかけはありましたか?
元々、Twitterやpixiv、Instagram等のSNSにマンガを公開していたので、今回のエッセイマンガも、そのなかのひとつとして公開しました。今まで同様に「こんなことを思ったよ」という感じで気軽に投稿したのですが……正直、こんなに反響があるとは想像もしていませんでした(笑)。斬新な考え方でもないし、使えるライフハックでもない……ただ、思いついた出来事を描いただけだったので。これほど共感していただけたことに、「僕だけでなく、誰しも経験した“あるある”だったのか」と、新しい気付きになりました。
ちなみに、小学生の頃、休み時間は10分や15分や20分といろいろあったと思いますが、どの休み時間でも、ドッジボールをやっていたような気がします。例えば、15分の休み時間の場合、その短時間で、仲間を集めて、チーム分けして、準備して、片付けの時間も考えると……実質、数分しか遊べないです。なので、少しでも遊ぶ時間を長くするために、休み時間になる前の授業終盤あたりになると、頭のなかで「誰を誘うか……場所取りはどうするか……」など、段取りを考えていました。今なら、「授業に集中しろよ!」と言いたいですが(笑)。それほど、少しでも長くドッジボールをしたいという気持ちが強かったんですね。場所取りは早い者勝ちなので、早く校庭に行く必要がありますし(笑)。
ただ、この時の経験から、「人は時間があっても行動しないが、時間に制限があると行動する」ということを学びました。時間に制限があると、時間を無駄にしないために、計画的にも行動的にもなると。大人からすれば、小学生のドッジボールは、たかが「遊び」ですが、そこから学ぶことも多くあるのです。チームスポーツなので、人間関係も出てきますし(笑)。あれはあれで、人の「社会勉強」なんですね。僕にとって、良い思い出でもあり、貴重な経験でした。
ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「子供の頃は、どの時間も全力で生きてた」とか、「あの頃より、幸せな時間の使い方・感じ方はもうできない」みたいな……過去を懐かしむ率直なコメントや、「情報量の差で、子供の方が情報を吸収しながら日常を処理していくので、時間が長く感じられる」とか「時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する」という「ジャネーの法則」など、いろいろな理論で説明してくださる方もいて面白かったです!
ただ……やはり一番は、今回のお話に「分かる!」と共感してくださる方のコメントの多さですね! まさか、こんなに反響があるとは予想していませんでしたので、素直にビックリしました!「こう感じたのは、ぼくだけじゃなかったんだ」と(笑)。
ーーTwitterでは日常で感じたことなどを描いたマンガを多く投稿なさっていますが、これまでに投稿されたマンガで、反響が大きかったもの、ご自身が気に入っているものなどがあればご紹介いただけますか?
作家さんに向けたマンガで、テレビで取り上げられたこともある『「友達だからタダでやって」と言われた時の、手っ取り早い解決方法』と『安売りするな』の2作品は、他の職業の方も同様に悩んでいたようで、漫画家やイラストレーター以外に、料理人や美容師など、多方面の方から共感のお声をいただきました。
「友達だからタダでやって」の頼まれごとは、学生の頃からありました。その頃は「プロ」ではないので、自分の作品でお金をもらう経験がなかったことから、対価を要求することに罪悪感をおぼえてしまって、「タダ」で受けていました。もしかしたら「タダで」と頼む側は、大人になった今でも、そうした「学生の頃のノリ」で軽く頼むのかもしれません。こちらは、お金をもらって仕事をする「プロ」になったので、結果的に、相手との温度差やギャップが生まれるのかと思います。
そうした自分の経験から、「クリエイターが安く使われること」に不満を持っていたのですが、最近のTwitterで、似たような不満や悩みを持つ方が多くいると知り、なんとかできないかなと考えていました。このお話を描いた時は、「絵描きさんなら共感してもらえるかも」と思っていましたが、正直、ここまでの話題になるとは想像していませんでした。みなさん、職業は違いますが、「タダで頼まれること」は“あるある”のようで……なかには、相手との関係性もあり、不本意ながら断り切れなかった方もいると思います。
でも僕は、「安く済ませる」という考えで近づいてくる人を、そもそも「友達」とは思っていませんので、関係性を切って良いと考えています。完全に自分のための言動ですし、対等な関係ではなく利用されていますからね。それに、一度安請け合いしたら、次も同じような頼み事をされると思うので、勇気を持って断る必要があると思います。何といっても、お金をいただいて仕事をする「プロ」なんですから。
逆に、僕は以前、結婚式のウェルカムボードをお祝いとして制作したことがあり、お祝いの品なのでお金をいただくつもりはかけらもなかったのですが、「素敵なモノを作ってくれたから、“気持ち”として受け取ってほしい!」と頼まれ、いただいたことはあります。「無償でやる」というセリフは、こちら側が言うべきことだと思っていますし、本当の「友達」なら、そうした誠実な対応をしてくれるはずです。
原価があることが見て分かる「商品」と違って、それが見える形でない「知識」や「技術」は安く見られがちです。その「知識」や「技術」を習得するのに大変な労力と苦労、そして膨大な時間がかかっていることを、もっと知ってほしいです。そこにこそ、「作者の価値」も含まれていますので、それを「タダで」なんて言われると、やはりつらいものがあります。
こうしたことは言葉で説明してもなかなか伝わらず、実際に経験してもらわないと分かっていただけないと思うのですが……それでも、作り手の気持ちを少しでも分かっていただきたいのと、このようなつらい思いや悩みを抱える方に、僕のマンガで少しでも良い影響を与えられたらうれしいです!
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
僕は、「読者さんを元気にしたい!」という想いでマンガを描いています。現在描いている『アニワル』は、人生の悩みや社会の不満に“喝”を入れるマンガで、自分の経験や考え方も生かして描いていますので、これからも、「生きやすくなれるような考え方」や「前向きになれるメッセージ」を発信していきたいと思います!そうして、少しでも読者さんが前向きになっていただけたらうれしいです!
(マグミクス編集部)