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70~80年代アニメの「レジェンド悪役」5選。魅力的な敵こそ、名作に不可欠!?

大ヒットしたSFアニメや特撮ドラマには、共通する要素があります。それは魅力的な悪役キャラクターが登場するということです。物語が面白くなるかどうかは、主人公と対立する関係にある悪役、敵キャラ次第だといえます。そんな悪役、敵キャラのなかから、特出した個性を持ったキャラクターたちを紹介します。

主人公以上に人気を集めた悪役も…

海外版『MAZINGER Z TV SERIES PART 1』DVD(Eastern Star)。ジャケットにあしゅら男爵が描かれる
海外版『MAZINGER Z TV SERIES PART 1』DVD(Eastern Star)。ジャケットにあしゅら男爵が描かれる

 さまざまなヒーローたちがSFアニメや特撮ドラマの世界で活躍していますが、そんなヒーローたちの魅力を最大限に引き出しているのが、悪役キャラクターです。アメコミでは悪役のことを「ヴィラン」と呼び、主人公であるヒーロー以上の人気を博することもあります。

 かっこいいヒーローがさっそうと登場しても、必ずしもヒット作になるとは限りません。物語として面白くなるかどうかは、これまでにない個性的な敵キャラを生み出せるかどうか次第だといっても、過言ではないでしょう。敵キャラがもたらす闇が深ければ深いほど、ヒーローは輝くことができるのです。

 日本のアニメーション史に大きなインパクトを残した、1970年代~1980年代の「レジェンド悪役」たちを振り返ります。

死後も石像となって讃えられた「あしゅら男爵」

 個性派ぞろいの悪役キャラのなかでもひときわ強烈な印象を与えたのが、1972年から放送が始まった元祖スーパーロボット『マジンガーZ』(フジテレビ系)に登場した、「あしゅら男爵」です。

 右半身が女性、左半身が男性という、一度見たら忘れることができない容貌です。声優は男性パートを柴田秀勝さん、女性パートを北浜晴子さんが演じました。

 男の残虐さと女の執念深さを併せ持つあしゅら男爵は、マジンガーZに毎週のように敗北を喫しながらも、決して諦めることなく戦い続けました。第78話「あしゅら男爵 太平洋に散る!!」では、マジンガーZと光子力研究所をあと一歩のところまで追い詰めますが、ついに悪運が尽きてしまいます。

 体を張って戦い続けたあしゅら男爵の偉業を讃え、Dr.ヘルはあしゅら男爵の石像を建てています。悪役多しといえど、悪行ぶりで石像まで建てられた人物はそうそういないのではないでしょうか。悪役界の二宮金次郎と呼びたくなります。

 それにしても原作者・永井豪氏は、魅力的な悪役を次々と生み出す天才でした。カルト的人気を誇るマンガ『デビルマン』では、主人公・不動明のいちばんの親友・飛鳥了が実はラスボスだった、という衝撃的なラストを用意しました。

 また、ディストピア世界を描いた『バイオレンスジャック』に登場したスラムキングの騎馬軍団の異様な出で立ちは、実写映画『マッドマックス2』(1981年)にも影響を与えたように思えます。自身の欲望に忠実で、モラルに囚われない悪役たちを、永井氏はとても生き生きと描いています。

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