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OVA『銀英伝』ヤン役・富山敬氏の命日 「声優アワード」でも名を冠した賞が

ずっと この胸に 強く生きている

『逆転イッパツマン』イッパツマン役 画像は全話いっき見Blu-ray(フロンティアワークス)
『逆転イッパツマン』イッパツマン役 画像は全話いっき見Blu-ray(フロンティアワークス)

 もちろん、富山氏が演じたのはヤンだけではありません。声優として長く活躍された富山氏には代表的な役がたくさんあります。そのなかで筆者にとって印象深いのが『逆転イッパツマン』のイッパツマンです。「タイムボカン」シリーズ第6作として放送された作品で、富山氏はシリーズを通してナレーションやゲストキャラを担当していましたが、本作でついに主人公を演じることになりました。さわやかで凛々しく、そして力強いキャラクターを富山氏はときに熱く、ときに涼やかに演じ切り、全58話と1年以上もの間、多くの子供たちを夢中にさせてくれたのです。

 本作でのナレーションは富山氏に代わり鈴置洋孝氏が務めていましたが、残念なことに2006年に亡くなられています。主題歌の作詞と作曲、歌を担当した山本正之氏は、2番までしかなかった歌詞に3番目を加えた新たなバージョン「逆転イッパツマン! 3C(スリーコーラス)」を制作し、追悼の意を表しました。この曲は2007年に発売された山本氏のアルバム「才能の楽園」に収録されており、2番と3番の間には、富山氏と鈴置氏のセリフが挿入されています。当時を知る方にとっては懐かしく、そして感じ入る曲になっていると思いますので、機会があったらぜひ一度聴いてみることをお勧めします。

 声優だけではなく舞台俳優、タレント、歌手としても幅広い活躍を見せていた富山氏は、面倒見がよく周囲に慕われる存在でもありました。そして仕事に対する責任感も大変に強く、結果として病院に行くのが遅れてしまったことが、残念で仕方がありません。声優の世界では80歳を超えて現役の方が何人もおられます。富山氏がもしご存命であれば、間違いなくいまも現役で活躍されていたでしょう。56歳での死は、あまりにも早すぎました。ここにご冥福を祈らせていただきます。もっとあなたの声を聞きたかった。

(早川清一朗)

【画像】富山敬氏が演じたキャラクター

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