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自動車事故が起こるのは「仕方ない」? 『ミステリと言う勿れ』第7巻も冴える視点

そんなつもりは全然ないのに、なぜか物事の本質をあぶりだし、さまざまな事件を解決する主人公。注目を集めているマンガ『ミステリと言う勿れ』の最新第7巻も、数々の名言に出会えるストーリー。実は大人気ミステリーマンガの作者も同作に注目しているらしく……?

自動車事故だけが「起こる」前提になっている?

『ミステリと言う勿れ』第7巻(小学館)
『ミステリと言う勿れ』第7巻(小学館)

 宝島社「このマンガがすごい!」のオンナ編ランキングに2年連続ランクインし注目を集めている田村由美氏のマンガ『ミステリと言う勿れ』第7巻が発売されています。

 最新刊となる7巻でも、変わり者の大学生・久能整(くのう・ととのう)が事件に巻き込まれながら、いつの間にか謎だけでなく人の悩みまでも解きほぐしていく様子が描かれます。

 一見マイペースでのんびりしている主人公が、独特の視点で事件を解決していく過程が同作の見どころですが、主人公「整」から飛びだす哲学的な名言には読者の心に刺さるものが多いのも特徴。これまでに発売された1〜6巻でも、数々の名言で読者を魅了してきました。

 第7巻では、大学の教官から山荘でのアルバイトに来ないかと誘われ、整は滞在先で思いもよらぬ奇妙な事件に巻き込まれる……というところから始まります。

 今回も、整は独特の視点で切り込んできます。自動車による交通事故について、「どうして自動車だけ事故が仕方ないと思われているんでしょう?」と切り出し、「列車や飛行機なら大ごとで、原因が追求されて、責任も追求されて改良・改善を求められます。安全委員会が作られて、心理学者が乗り出したりしてます。でも車の事故は自己責任です。(‥中略‥)自動車の保険のCMを見るたびに不思議な気がします。事故はなぜか起こることが前提なんです」と、疑問を投げかけます。

 また、幸せだったと言う過去の殺人事件の被害者が、”庭で四つ葉のクローバーを見つけるのがとてもうまかった” というエピソードにも、「シロツメクサは本来”三つ葉”なんですけど、キズつけられると”四つ葉”になるそうです。つまり、四つ葉を探そうとどんどん分け入って踏んづけると、どんどん四つ葉ができてしまうわけです」と、植物の知識を踏まえたうえで、被害者は幸せではなかったのではないかと指摘します。

 今回は、大学の教官の天達先生の名言も飛び出します。仕事にかまかけて家のことを放っておいたと語る登場人物に対して、「子供の頃は親に期待しすぎるんですよ。親は、親という生き物でちゃんとした親であるべき、あってほしい、それが当たり前だと。(中略)親も不完全な一人の人間だったんだと。息子さんそれがわかってきたんじゃないですか?」

 独特の視点をちりばめながら物語が進んでいく本作ですが、第7巻では大人気ミステリーマンガ『名探偵コナン』とのコラボ要素も。第7巻の帯で『名探偵コナン』作者の青山剛昌氏が主人公・久能整の魅力を語る一方、『名探偵コナン』最新第98巻では、カバーの折り返しに掲載の「青山剛昌の名探偵図鑑」に整が登場。どちらも、青山氏が描き下ろしした整のイラストが掲載されています。

(川崎晴代)

【画像】『名探偵コナン』青山剛昌氏が描き下ろした「久能整」のイラスト

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