歴代ウルトラ怪獣に秘められた「大人の事情」。微妙に似てるのになぜ違う名前?
ウルトラ怪獣のなかには、意外な共通点を持つものがいます。そこには子供の頃にはわからなかった大人の事情がありました。そっくりに見えて違った名前を持つ怪獣。そして、同じ名前でも明らかに違って見える怪獣……謎を解くカギは意外なところにあったのです。
レッドキングに突然「白目」が増えた! その理由は…
ウルトラシリーズに登場する怪獣を見て、たまに「ちょっと違うな?」という違和感を覚えたことはありませんか? それは着ぐるみとして別々に作られたモノだからです。例えば、一目瞭然なのはバルタン星人でしょう。
『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」に登場した初代の着ぐるみに比べ、第16話「科特隊宇宙へ」に登場した2代目は、見るからに鋭角的でスマートだと誰もが気づきます。これは初代バルタン星人の着ぐるみが劣化したため、再登場する話で新たに着ぐるみを新調したからです。
実は、この細身の2代目の方がデザイン画には忠実だったりします。しかし、その後の着ぐるみでは初代をベースにしたものが多く、バルタン星人といえば初代のイメージが強いですよね。
ひとつの作品のなかで着ぐるみを新調した例はまれで、基本的には前回使った着ぐるみをそのまま使っています。第33話「禁じられた言葉」に登場した3代目バルタン星人や2代目ザラブ星人のように、色を塗り替える程度でしょうか。
でも、「ウルトラマン」に詳しい人なら気になる怪獣がいるはずです。そう、第8話「怪獣無法地帯」に登場した、レッドキングです。
第25話「怪彗星ツイフォン」で再登場した時の2代目レッドキングは、黒目が大きい初代と違い、白目がよくわかる目になっています。何故わざわざ改造したの?と考える人は少なくないでしょう。実は、その謎を解くミッシングリングとも言える怪獣がいます。
それは、第19話「悪魔はふたたび」で登場したアボラスです。アボラスは一緒に現れたバニラを倒し、口から吐き出す溶解液でウルトラマンを苦しめた怪獣です。強い怪獣だったので記憶に残っている人も多いと思います。でも、このアボラスの胴体をよく見ると何か気づきませんか?
そうです。レッドキングそっくりではありませんか。
実は、アボラスは初代レッドキングの着ぐるみの頭を作り変えた、改造怪獣だったのです。そのアボラスを、撮影後さらに改造したのが2代目レッドキングというわけです。それで目のかたちが違うのです。
このように、時として怪獣の着ぐるみは別の怪獣に改造されることもあり、初期のウルトラシリーズ、とくに『ウルトラマン』では多く見られます。そのなかには一見してわからないものも多く、また思わぬドラマを作り出したこともあるのです。