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『ふしぎなメルモ』放送から49年。「スカートめくり」の時代に<性と生命>の神秘描く

神秘の世界を通じて、子供たちを大人へと成長させた

原作マンガ『ふしぎなメルモ』手塚治虫文庫全集(講談社)
原作マンガ『ふしぎなメルモ』手塚治虫文庫全集(講談社)

『ふしぎなメルモ』は子供向けのアニメでしたが、そのテーマは〈性と命〉でした。放送当時は小中学校でスカートめくりが大流行して社会問題となり、性教育の必要性が叫ばれていた時代。医学博士でもあった手塚治虫氏は、子供たちが大好きなアニメを通して性を学ばせようとしたのです。

 青いキャンディーを食べて大人の女性の身体になり、膨らむ胸に戸惑うメルモちゃん。赤いキャンディーを食べて赤ちゃんへ、時には受精卵にまで戻るメルモちゃん。赤ちゃんに母乳をあげようとしても、妊娠してホルモンが作られなければ母乳は出ないと知るメルモちゃん。

 メルモちゃんが見ること感じることを通して、子供たちも自然と性に触れていきました。学校で教わる性教育は、堅苦しく気恥ずかしいものですが、メルモちゃんのアニメは、物語の中でいつのまにか、神秘の世界を教えてくれたのです。そして男の子と女の子に、違う性を持つ者としてお互いを思いやる心も育んでくれました。

 手塚治虫氏は当初、性教育アニメということで、先生や父兄からかなりの反発があるものと思っていたそうです。「放送禁止」を言い渡されることも覚悟していたと言いますが、いざ始まってみると大人たちにも評判が良く、思ったよりも性教育への理解があるのだと拍子抜けするほどだったそうです。大人にとっても自分の口からは教えにくいことをわかりやすく教えてくれる、有難いアニメだったのかもしれません。

 小学3年生だったメルモちゃんは、やがて成長して本当に大人の女性となり、最終回ではメルモちゃん自身の出産シーンまで描かれています。見ている側と同年代の主人公が大人になってからの世界を描くというのも、当時のアニメとしては珍しい展開でした。

  そしてラストではメルモちゃんに、嬉しくもちょっぴり切ないサプライズが……!『ふしぎなメルモ』は、子供たちの心を大人にしてくれた、記憶に残る異色のアニメだったのです。

(古屋啓子)

※アニメ『ふしぎなメルモ』は、dアニメストア、バンダイチャンネルなどの配信サイトで視聴可能です。

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