『機甲創世記モスピーダ』はOP曲、バイク変形ギミックが傑作!2020年新たな動きも
『モスピーダ』OP「失われた伝説を求めて」はクリエイターが超豪華
LD-BOXを大事に抱えて帰宅した筆者は、他の用事を全部放り投げてすぐに視聴を開始しました。
まず流れ始めたのは、オープニングの「失われた伝説を求めて」。作詞が中森明菜さんの「少女A」などで知られる売野雅勇氏。作曲がTVドラマ『西遊記』で「ガンダーラ」や「モンキーマジック」を作り上げたタケカワユキヒデ氏。編曲は宮崎駿作品でおなじみの久石譲氏と、1980年代最高のクリエイターが一堂に会した名曲です。
ボーカルのアンディ氏が何者なのかは長く謎とされてきましたが、後に元「シャープ・ホークス」の小山真佐夫氏であることが判明しました。小山氏は現在アンディ小山と名乗り、さまざまな音楽活動を行っています。「失われた伝説を求めて」をライブで披露してくれることもあるそうなので、ぜひ一度生で聴いてみたいものです。
また、オープニングアニメーションを制作したのは、日本アニメの歴史に名を残す名アニメーターの金田伊功氏。残念ながら2009年に亡くなられてしまいましたが、本作でも太陽の光がそのままレギオスのジェット炎に切り替わるなど金田氏のセンスが随所に見られます。しかしよく観察してみると使われている素材はさほど多くはなく、制作状況は決して良くなかったことが伺えます。それでもこれほどの傑作を仕上げた金田氏の天才性には、ただ驚かされるばかりです。
そうして全25話を見終え、特に印象に残ったのがイエローというキャラクターでした。インビットの手を逃れるために軍人であることを隠し、女装して歌手として活動しているキャラクターで、男性として振る舞う際は故・鈴置洋孝氏、女性として振る舞う際は松木美音氏が声優と歌唱を担当するという、当時としては斬新な体制が取られていました。ストーリーの後半では進化して人間体となったインビットと恋に落ちるなど、作品中でも重要な役どころを担っています。なお、松木氏はエンディング「ブルー・レイン」をアンディ小山氏と共に担当、現在もミネハハ名義で音楽活動を続けており、オリジナルの楽曲を数多く発表しています。
作品全体としては、地球を占領しているインビットと生き残った人類の奇妙な共存関係、そこに外来者として殴り込んできた主人公たちによって生じる軋轢など、単純な勧善懲悪を超えたストーリーが展開されていました。特に8話「ジョナサンのエレジー」のラストシーンは、かなり衝撃的です。
放送終了後はあまり動きが見られなかった『モスピーダ』ですが、2020年に新プロジェクト「GENESIS BREAKER」が始動し、フィギュアやムックが発売されるなど、新たなモスピーダワールドが幕を開けようとしています。果たして今後どのような形で新しい『モスピーダ』を見ることができるのか、1ファンとして楽しみにしています。
(早川清一朗)