『蒼き流星SPTレイズナー』最終回に唖然…高評価にもかかわらず、唐突な打ち切り
打ち切りとなった後…
とはいえ、このような終わり方に納得できなかった人は多かったのでしょう。1986年にはOVA ACT-III「刻印2000」が発売され、テレビシリーズの最終話に新作映像が追加される形でどうにか決着を迎えます。
打ち切られたとはいえ『レイズナー』は1980年代ロボットアニメのなかでもかなりの傑作であることに間違いはありません。特にオープニングテーマの間に、その回の重要なシーンがカットインされる演出は見ごたえのあるものでした。筆者が最も気に入っているのは8話でゴステロが「ゲイルの後を追わせてやろうか、え!? たまらないな人殺しというのは」「くそっ、影も形もないようにしてやる」と愉快そうに、そして憎々し気に語るシーンです。
そう、『レイズナー』と言えば、ゴステロを欠かすことはできません。残忍非道で人殺しが大好きと公言してはばからない下衆な男ですがその強さは本物で、エイジをたびたび危機に陥れます。一度はエイジに敗れ戦死したと思われたもののサイボーグ化して復活し、エイジの姉のジュリアを人質にするなど、卑怯卑劣な手段を駆使してエイジに戦いを挑み続けるのです。
『レイズナー』は1部の最後で地球を占領され、2部からは『北斗の拳』のような崩壊世界でストーリーが展開しますが、ゴステロは声優の広瀬正志氏の怪演も見事にハマっており、2部の世界への溶け込み方が異様にしっくりくるキャラクターでした。打ち切りのあおりを受けて32話であっさり死んでしまうのがあまりにも惜しいキャラクターでした。
そしてレイズナーと言えば忘れてはならないのが、作画面の素晴らしさです。大阪の制作スタジオ「アニメ・アール」が精魂を注ぎ込んで描いた破片の散らばり方は、現代でもここまでハイレベルな作品を見るのは難しいと断言できます。アクション面においても、グラドス側が投入した無人機「スカルガンナー」の機動は目を見張るものがあります。もし見たことがない方がいたら、ぜひ見てください。技術の極致がそこにあります。
(早川清一朗)