新装版『花鈴のマウンド』5巻、幼馴染に寄り添い「女の子だって甲子園!」の思い強く
甲子園への夢を目指す女子硬式野球部、花鈴(かりん)たちを描いた野球マンガ『花鈴のマウンド』。2020年8月25日に発売された新装版第5巻は、花鈴の幼馴染の甲子園への挑戦に、大きな進展が見られる緊張感あふれる展開でした。
主人公・花鈴の戦いへの決意が固まる第5巻
「女の子だって甲子園!」をテーマに、主人公の花鈴と彼女が所属する都立星桜(せいおう)高校の女子硬式野球部員が奮闘するマンガ『花鈴のマウンド』。新装版第5巻では、花鈴の幼馴染で星桜高校男子野球部のキャッチャーでもある大門頼(らい)の、甲子園への挑戦がクライマックスを迎えます。
甲子園予選大会の決勝、あと1つ勝てば甲子園への切符を手にする男子野球部。花鈴を絶対に甲子園へと連れて行く」……幼い頃にそう約束した頼は、足首に走る激痛を押して決勝戦へと臨みます。決勝の相手は、春のセンバツで全国ベスト8にもなった白狼高校。速球が武器のエースピッチャーと、強打が売りのキャッチャー。このバッテリーを擁する強豪校が、頼たち星桜野球部の選手たちを大きく揺さぶります。
勝てば甲子園に行けて、負ければ夏が終わる。天国と地獄のどちらになるかという緊張感は、好プレーと同時にミスも生み出します。高校野球ならではのシーソーゲームの様相を呈する試合展開は、読む者をハラハラさせます……!
ひとつ前の試合で足を負傷しながらもチームをまとめ、過酷な環境を戦い抜こうとする頼。なんとか彼をサポートしようと、不利な状況でも諦めないチームメイト。ここまで最多ホームランを記録している頼をねじ伏せようと立ちはだかるライバルたち。頼の甲子園挑戦エピソードが始まる第4巻とあわせて、すっかり主人公のポジションとして応援したくなる展開です。
主人公の花鈴はしばらくの間、頼を応援する立場で描かれていましたが、第5巻の最後には、彼女がいよいよ大会出場を迎えるという展開を見られます。ここまで描かれた頼の甲子園挑戦は、思えば花鈴の「甲子園への思い」を描くための物語だったのかもしれません(巻末には、頼と花鈴の出会いを描いたサイドストーリーも掲載)。
ようやくと言うべきか、いよいよというべきか。ついに高校最後の戦いの舞台に立つ花鈴の活躍が見られることにワクワクする展開です。女子硬式野球ではライバルチームのメンバーも丁寧に描かれているので、彼女たちに花鈴がどう挑むのか楽しみです。
作中挿入されている様々な確執(野球を毛嫌いするサッカー部員・青山の過去や頼をめぐる恋愛模様など)は、これからどう進展していくのか……6巻以降の新展開、まだまだ気になるところばかりです。
(サトートモロー)
※マンガ『花鈴のマウンド』公式サイトにて、女の子にも分かりやすく解説した連載企画「【世界一わかりやすい野球〜はじめの一歩〜】」が公開中です。