アニメ『ベルサイユのばら』 最終回1話前での「つづく」に絶望した思い出
1979年10月10日、TVアニメ『ベルサイユのばら』の放送が開始されました。池田理代子先生の同名の原作をアニメ化した作品。全40話。本放送直後から爆発的な人気を獲得し、何度も再放送が行われた不朽の名作です。
『ベルサイユのばら』男装の麗人オスカルとフランス革命

1979年10月10日は、TVアニメ『ベルサイユのばら』の放送が開始された日です。フランス・ブルボン王朝の末期を舞台に男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと悲劇の王妃マリー・アントワネット、そして哀しき愛に身を焦がしたアンドレ・グランディエとハンス・アクセル・フォン・フェルゼンら、揺れ動く時代に翻弄されながらも懸命に自分の人生を生きようとしたキャラクターたちが繰り広げた骨太のストーリーは、多くの人の心を震わせました。小学生から中学生の頃に再放送で何度も『ベルサイユのばら』を見続けたおかげでフランス革命史に詳しくなれたライターの早川清一朗さんが当時を回想します。
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TVアニメ『ベルサイユのばら』は池田理代子先生の同名の原作をアニメ化した作品です。全40話。本放送直後から爆発的な人気を獲得し、何度も何度も再放送が行われた不朽の名作です。
筆者が『ベルサイユのばら』を見始めたのがいつなのかは記憶がありません。しかし物心ついた頃にはしょっちゅう再放送が行われており、姉と一緒に見ていました。
まだ一桁の年齢では難しいことは分かりませんでしたが、それでも何度も見ていくうちにいつも剣を手に格好良く戦っているオスカルが、フェルゼンへの叶わぬ愛に苦しむひとりの女性であることや、フランス革命という実際に起こった出来事をベースにしていることが理解できるようになっていったのです。
男装の麗人として生きるオスカルの葛藤、オスカルへの身分違いの愛に苦しむアンドレ、慣れないフランス宮廷暮らしに苦悩するマリー・アントワネット、アントワネットへの許されぬ愛に身を焦がすフェルゼン。作中に登場するキャラクター一人一人がそれぞれ苦悩を抱えながらも、せいいっぱい生き抜こうとする姿は、まるで本当の人間が画面の中にいるかのようなリアリティがあったのです。
ほかにも魅力的なキャラクターは大勢いますが、なかでも筆者にとって印象深いのが、衛兵隊のアランです。女隊長であるオスカルに反発しながらもやがて恋心を抱き、頼りになる部下として活躍するのですが、妹が婚約者の裏切りで自殺してしまい、腐りゆく遺体のそばでじっと過ごしていたシーンは、今も忘れられません。