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漫画家・まつもと泉氏追悼 小学生をドキドキさせた『きまぐれオレンジ☆ロード』

幻となった「スーパージャンプ」の新作

 この『オレンジ・ロード』を描いたのが、故・まつもと泉先生でした。ギャグやバトルものがメインの「週刊少年ジャンプ」のなかで、『オレンジ・ロード』に描かれる街や学校という当たり前の風景は、「この作品は自分の住んでいる世界の延長にあるんじゃないだろうか」という想像力を掻き立てられるほど、リアリティにあふれるものでした。

 この作品のなかで特に人気のあったキャラクターが、メインヒロインの鮎川です。長い黒髪の美人で、ちょっと斜に構えているけど根は純粋、妹分の檜山ひかるを除けば人付き合いもあまりない孤高の存在という、当時の少年マンガとしてはかなり珍しいタイプのキャラクターだったのですが、外には強さを見せ、親しい人間にのみ弱さを見せるギャップは、子供心にも響くものがありました。

 故・まつもと先生も鮎川をかなり気に入っていたそうで、『オレンジ・ロード』を描いているときのエネルギーの70%くらいは鮎川に割いていたと後に語っています。しかしアニメで鮎川を演じた声優の鶴ひろみ氏も2017年に亡くなられており、『オレンジ・ロード』は大切な人をふたりも失ってしまったことに、改めて哀惜の念を感じざるを得ません。

 1987年に『オレンジ・ロード』の連載を終えたまつもと先生は、「スーパージャンプ」に掲載誌を移し『せさみ☆すとりーと』の連載を開始。終了後もさまざまな活動を続けていましたが、1999年に新連載を発表したのち、消息が一時途絶えます。2004年になり脳脊髄液減少症という難病による体調不良であることを告白し、ファンを驚かせました。一時は持ち直したものの、心臓の持病や脳脊髄液減少症の再発などもあり、創作活動を行うことは困難となり、2020年10月6日、逝去されました。お元気であればもっとたくさんの作品を世に送り出せたことは間違いない、素晴らしい漫画家でした。ご本人もさぞかし無念だったことと思います。1ファンとしても、ただ、残念としか言いようがありません。ここにご冥福を祈らせていただくとともに、難病に苦しむ人がひとりでも減ることを切に願っております。

(ライター 早川清一朗)

【画像】アニメも人気を博した『きまぐれオレンジ☆ロード』

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