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『鬼滅の刃』那田蜘蛛山編で「神回」放映 伊之助の能力はオランウータン並み!?

相手の感情さえ嗅ぎ分ける炭治郎の嗅覚

 炭治郎の能力もユニークです。炭治郎は嗅覚に優れています。炭治郎の研ぎ澄まされた嗅覚は、鬼の気配だけでなく、鬼が抱く感情の匂いまで嗅ぎ分けることが可能です。普段の私たちの生活は、視覚や聴覚に頼ることが多いだけに、炭治郎の常人離れした嗅覚センサーはとても新鮮に感じられます。

 鬼たちとの戦いのなかで、炭治郎は鬼が瞬間的に見せる「隙」の匂いすらキャッチするようになっていきます。炭治郎は「隙」の匂いを視覚化して捉え、「隙の糸」と呼びます。「隙の糸」が見えれば、あとは糸に沿って日輪刀を振り込むだけです。

 一流アスリートがプレーに集中している状態のことを、「ゾーン」に入っていると言います。「ゾーン」に入っているサッカー選手にボールが回ると非常に高い確率でゴールシュートを決め、ラグビー選手はトライをゲットします。「ゾーン」に入っている選手は、ゴールを決める弾道やトライを挙げることのできるコースをはっきりとイメージすることができるそうです。

 剣術の心得はなくとも、多少なりともスポーツを経験した人なら、炭治郎の「隙の糸」という例えは理解しやすいのではないでしょうか。原作者・吾峠氏のセンスのよさ、原作マンガをうまくアニメーション化した外崎春雄監督らの演出力がお見事です。

生き延びるために見る「走馬灯」

 知力、体力のすべてを使って戦う炭治郎ですが、それでも「十二鬼月」の累を倒すことはできません。炭治郎は背中に負っていた禰豆子を累に奪われ、日輪刀も折れ、絶体絶命のピンチに陥ります。死が迫りくる炭治郎の脳裏に、亡くなった父親が「ヒノカミ神楽」をかつて舞ってみせた姿が浮かびます。蜘蛛の毒にむしばまれつつあった善逸と同じように、死を予感した人が見る「走馬灯」を炭治郎も体験します。この「走馬灯」は、「パノラマ記憶」とも呼ばれ、死の危険を察知した脳が引き起こす現象だと考えられています。

『鬼滅の刃』の面白いところは、「走馬灯」は死亡フラグではなく、生き延びるための方法をこれまでの記憶のなかから脳が無意識に探している行為だとポジティブに解釈してみせるところです。炭治郎は最後の最後まで諦めません。「走馬灯」の1シーンとして蘇った父親に励まされるようにして、炭治郎は最後の気力を振り絞ります。

 愛するものを守るために戦い、そして愛するものたちに支えられることで、炭治郎は生と死のギリギリの狭間を生き抜くことになります。那田蜘蛛山では激しい死闘が繰り広げられますが、劇場版『無限列車編』、さらに原作マンガの9巻以降、ますます熾烈な戦いが待っています。炭治郎と禰豆子は、はたしてサバイバルできるのでしょうか。

(長野辰次)

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