声優・辻谷耕史氏の命日 『Fate』キャラの声を選んだ音響監督としても活躍
10月17日は、2017年に亡くなった声優・音響監督、辻谷耕史氏の命日です。『ガンダムF91』のシーブック・アノー、『犬夜叉』の弥勒など、主役級のキャラクターを数多く演じ、音響監督としてTVアニメ『Fate/stay Night』(第一作)のキャスティングも手掛けました。
辻谷耕史氏が声をあてたキャラクターたち

10月17日は、2017年に脳梗塞で亡くなられた辻谷耕史(つじたに・こうじ)氏の命日です。享年56歳。声優としては『無責任艦長タイラー』のジャスティ・ウエキ・タイラー少佐、『機動戦士ガンダムF91』のシーブック・アノー、『犬夜叉』の弥勒など、主役級のキャラクターを数多く演じました。音響監督としてもTVアニメ『Fate/stay Night』(第一作)のキャスティングを手掛けており、その時の配役は辻谷氏自身が演じた遠坂時臣を除き、2020年の今もなお健在です。ライターの早川清一朗さんが、辻谷氏の活躍を振り返ります。
* * *
筆者が最後に辻谷氏関連のインタビュー記事を読んだのは、音響監督を務められたTVアニメ『昭和元禄落語心中』での林原めぐみ氏との対談でした。辻谷氏と林原氏と言えば、OVA『機動戦士ガンダム0080』のバーナード・ワイズマン(バーニィ)とクリスチーナ・マッケンジー、OVA『3×3 EYES』の藤井八雲とパイでコンビを組んでおり、かつて声優として共演していたふたりが立場を変えて共に作品作りを行っていることに、筆者は感慨を覚えました。そのインタビューでは、辻谷氏が声優のキャスティングに大きな影響を与える音響監督になったと知った林原氏が「辻谷さんから仕事をもらえるかもしれない」と思っていたところ全然そんなことはなく、『昭和元禄落語心中』が声優と音響監督としての初仕事になったとぼやいていたのを覚えています。
2016年に開催されたトークイベントで辻谷氏自身が語ったところによると、この作品のオーディションは参加者自身が3分間にまとめた落語をテープにして送るという独特な形式で行われたそうです。実力派声優として知られる山寺宏一氏や石田彰氏が必死になって役を取りに行き、小林ゆう氏に至ってはオーディションに合格して泣き出したと後に告白しています。また落語を知らない人のために、BGMにジャズを用いて盛り上げるなど、辻谷氏の音響監督としての力がいかんなく発揮された作品でした。