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【シャーマンキング30周年への情熱(15)】押し寄せる「絶望」に興奮止まぬ…『SUPER STAR』最新話

「少年マガジンエッジ」で連載中の『SHAMAN KING THE SUPER STAR』最新話(2020年11月号掲載)が、ひとつの山場を迎えています。怒涛のような「絶望」描写は、歴代エピソードでも珠玉の演出といえるものでした。

今月号の『THE SUPER STAR』は珠玉の演出回!

『SHAMAN KING THE SUPER STAR』が連載中の、「少年マガジンエッジ」2020年11月号(講談社)
『SHAMAN KING THE SUPER STAR』が連載中の、「少年マガジンエッジ」2020年11月号(講談社)

 みなさん! いきなりですが、2020年10月17日(土)発売の「少年マガジンエッジ」11月号はもうご覧になったでしょうか? 『SHAMAN KING THE SUPER STAR』の内容に筆者は興奮が止まりません!

 というのも――せっかく格好良く出てきたジゾウもバトウも、シヴァの前にはまったく無力でした……。いやネタバレはどうかと思いますが、これはもう先月からの規定路線と言わざるを得ず、一発逆転なんてムリ中のムリなのでしょうがありません。今回注目するべきはそこではなくて、ガンダーラの現状がどうなっているのか、途方もない霊力を持つシヴァがどういう立ち位置で存在しているのか、そして何よりも、いま述べた「ムリ中のムリ」が含む矛盾の答えです。

 思い出してください。『シャーマンキング』ではさまざまな「ムリな状況」が描かれてきましたが、果たして「ムリなものはムリ」と言っていたでしょうか? 葉たちが未熟だった頃はそうでしたね。しかしやがて違うということを悟っていたはずです。それを思い出しながら読めば、きっと「絶望」していただけると思うんです!

 実は今月の『SUPER STAR」は、これまで信じられてきた”作品の現実”を粉砕する恐怖と絶望にまみれています。そしてその舞台装置として用意されたのが、シヴァの持つ途方もない霊力の数値と、ヤツが巨大なビジュアルで街の中に現れるというシチュエーションです。前回の登場シーンはイメージ的に描かれていてあまり恐怖は感じられませんが、これは逆に重要なポイントです。その分、今回に凝縮される仕組みなのです。

 恐怖心というものは、「絶対的な破壊」が私達の現実に近い場所で起きると、それだけ強く植え付けられます。地続き感を憶えるからですね。これはホラーがもたらす恐怖というよりは、自然災害への無力感・転じて自然への畏怖に近いもので、その心理を利用して作られている映画の一例が『シン・ゴジラ』と言えたりするのですが、ともあれ、まずはそうやって読者に恐怖心を植え付けてから、怒濤のようにさまざまな絶望描写が続きます。

 この構造は、歴代のエピソードの中でもかなり演出力の高い廻だと筆者には感じられ、興奮が止まらなかったというわけです! どうか皆さんも、ぜひご覧いただきたいと思います。

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k