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アニメ『デビルマン』の最終回は幻だった? 再放送がもたらした「モヤモヤ」の真相

1970年代を代表するほどの人気を誇った『デビルマン』ですが、アニメの最終回は「幻」と呼ばれていました。インターネットのない時代、アニメ放送をめぐるさまざまな事情により、地域によってストーリーの認識に格差を生んだ出来事でした。

『8時だョ!全員集合』の裏で、3クール継続の人気ぶり

アニメ『デビルマン』DVD VOL.3(東映)。「幻の最終回」39話も収録されている
アニメ『デビルマン』DVD VOL.3(東映)。「幻の最終回」39話も収録されている

 あれは誰だ!(ダン)誰だ!(ダン)誰だ!(ダン)
 あれはデビル デビルマーン デビルマーン……

 世代でない人も一度は聞いたであろう、アニメ『デビルマン』のオープニング。この(ダン)の部分で寄っていくテンポが、たまらなくいいですよね。筆者的には曲と絵がマッチした、アニメのベストオープニングのひとつだと思っています。

『デビルマン』は1972年7月8日からNET(現在のテレビ朝日)系列で放送されていたアニメ作品です。原作は漫画家の永井豪先生ですが、実はマンガ版『デビルマン』のアニメ化ではありません。アニメとマンガで設定や物語にいくつかの違いがあることからも、そのことがよくわかります。

 その理由は、『デビルマン』誕生までさかのぼります。永井先生が描いていたマンガ『魔王ダンテ』をベースにした新しい作品の基本設定をアニメ化したのがアニメ版『デビルマン』。永井先生が描きながらストーリーの方向性を整えていったのがマンガ版『デビルマン』というわけです。

 当初はマンガで死なせる予定だった飛鳥了が重要キャラになったことも、途中で永井先生が思いついたからだといわれています。そのため、アニメで了は登場していないわけです。漫画とアニメは同じ設定を使った別の作品。後に永井先生はそう評しています。

 それゆえ、違いは他にもあります。マンガではアモンという悪魔の力を吸収してデビルマンとなった不動明でしたが、アニメでは逆にデビルマンという悪魔が不動明の体を奪って人間界にやって来ます。

 しかし、初めて出会った人間の女の子、牧村美樹に心を奪われたデビルマンは美樹を守るため、悪魔の一族デーモン族を裏切って戦うことを決めます。つまりアニメでは本物の悪魔がたったひとりの女の子のために、すべてを捨てて戦うというヒーローものになっているわけです。

 それでは、アニメの人気は当時どれくらいだったのでしょうか?

 当時のテレビ作品は基本的に半年(2クール)でしたが、本作品は9ヶ月(3クール)も放送されていました。しかも裏番組は、「伝説のお化け番組」と言われた『8時だョ!全員集合』ですから、子供からいかに支持されていたかがよくわかるというものです。

 それだけの人気を誇った『デビルマン』ですが、最後にある出来事に見舞われます。

【画像】衝撃展開のマンガ版『デビルマン』に沿った、初の映像作品

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