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【シャーマンキング30周年への情熱(16)】「シャーマン」とは何なのか? そのルーツを考える

「シャーマン」が細分化し現在に至るまで

『SHAMAN KING』第1廻の冒頭1ページで、作中でのシャーマンの概念が分かりやすく表現されている
『SHAMAN KING』第1廻の冒頭1ページで、作中でのシャーマンの概念が分かりやすく表現されている

 では「シャーマン」とはそもそも何をする人でしょうか? 原始のシャーマンは大自然と人間の仲介者でした。科学がまったく未発達の時代、大自然の力は畏怖(いふ)の対象でした。人の生死や病気、作物の生育、災害の有無、日食などなど全部自然が影響すると考えました。

 シャーマンはこの大自然と対話できる特殊な存在です。ただその能力は、農耕民族と狩猟民族、山の民と海の民、雪国と南国など、彼らが属する社会によって求められるものが異なり、地域差による得手不得手がシャーマンの種類を分けていったことでしょう。

 時代が進んでいくと、さらに細分化されます。例えば巫女や陰陽師とイタコの違いを言うなら、役人側にいるか民衆側にいるかだとも言われます。巫女や陰陽師は政治とともに存在し、後ろ盾を持ちながら専門性を洗練していきました。

 一方、民衆側にいるシャーマンは、人びとの常識を越えた「すべて」を受け入れる存在として、天気を占い、安全を占い、医者として働き、助産師として子を取り上げ、穢れを払い、人に徳を説くこともあったかもしれません。得手不得手を考慮すると、実に多くのシャーマンが生活に溶け込んでいたと思います。

 こうしていかにもシャーマンとして「映える」能力者から地味な存在まで多様化していったと思われますが、科学の発達に伴い、多くはより便利な手段に取って代わられました。まだ科学で未解明の分野を司るシャーマン……霊能力や超能力などを得意とする者たちは現代でも残っています。

 この過程で深く踏み込むべきでない領域に手を出したのが、古代ギリシャに端を発し、オリエントやアラブ、ヨーロッパで発展した「魔術」や「錬金術」に傾倒した者たちです。この地域は文化の最先端……裏返すと争いの最先端でもあり、権力者は人を支配するための方法として巨万の富、不老不死、強大な戦力といったものを求め、シャーマン能力はそれに先鋭化したのです。

 これは人間による自然への下剋上とも言え、死すらも制御しようというのはその最たるものでしょう。しかし、それが科学の発展につながり、私たちの生活が便利になっているのですから因果とは皮肉です。ただ、元々は科学の発展も大自然への畏怖とシャーマンの存在が不可欠だったわけで、たとえ下剋上が為し得たかに見えている現代でも、その経緯を忘れず自然との調和を保つように努めなければ、いつ足をすくわれてもおかしくないと、筆者は感じるのです。

 それでは今回はこの辺で。次回もお楽しみに!

(タシロハヤト)

(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k