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『Gガンダム』がなければ歴史は変わっていた? ガンダムの「常識」を変えたその功績

多様な作品が次々と生み出され、一大ジャンルとなったガンダムシリーズ。その礎(いしずえ)となったのが、シリーズ最大の異色作と呼ばれる『機動武闘伝Gガンダム』です。どうやって偉業を成し遂げたのか? その秘密を探ります。

ガンダムを「ジャンル」へと確立させた3つの出来事

『機動武闘伝Gガンダム』DVD第1巻(バンダイビジュアル)
『機動武闘伝Gガンダム』DVD第1巻(バンダイビジュアル)

 今や単なる「アニメ作品」という枠を越えて、一大ジャンルとなった「ガンダム」。しかし、ブームからジャンルとなった道は、決して平坦なものではありませんでした。ガンダムの歴史を振り返った時、ターニングポイントとなった大きな出来事が3つあったと思います。

 ひとつは「MSV(モビルスーツバリエーション)」です。第一次ガンプラブームの時、アニメに登場したモビルスーツ(以下MS)、モビルアーマーはもちろん、艦船などもプラモデル化するほどの人気を得ていましたが、それは逆に、プラモデルにするものがなくなるということでもありました。なにしろ当時は「サイド7」のプラモデル化まで予定されていたくらいです。

 そこで、書籍で発表されていたアッグシリーズという、ラフデザインだけ作られたが、テレビに登場していなかったMSが販売されることになります。このアッグシリーズで一定の評価を得たことで、テレビに登場しないMSも商品として成立することが検証できたバンダイが、書籍展開していたMSVシリーズの発売を決めました。

 MSVの登場は一度、沈静化していたガンプラブームを再度盛り上げました。発売されたラインナップの数を見れば、当時の熱気が伝わるでしょう。このMSVのヒットが続編『機動戦士Zガンダム』(1985年)までブームを維持した原動力となったわけです。

 その後、 一年戦争や宇宙世紀の壁すら越え、MSVがガンダムという作品に必ずあるコンテンツとなったことは、みなさんご存知のことと思います。

 次が、「SDガンダム」です。低等身の愛くるしいデザインが男の子たちから圧倒的な人気を得たばかりか、MSに興味を持たなかった女性たちにも支持されたことで、ガンダムという作品の間口を広げる重要な役割を果たします。

 その人気は長く続き、ジャンルとして確立したのはガンダムそのものより前かもしれません。なにしろ「SD」となるMSを確保するため、定期的にガンダムの新作を作るという時期もあったほどです。

 このSDもガンダム作品とは切っても切れない関係です。『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)から『機動戦士Vガンダム』(1993年)の間、劇場作品とOVAだけでテレビシリーズがなかったガンダムを販売面で支えていたのは、間違いなくSDガンダムでした。

 そして、最後のひとつが『機動武闘伝Gガンダム』(以下Gガンダム)(1994年)です。

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