幻の特撮番組『突撃!ヒューマン!!』斬新な手法で『仮面ライダー』に挑むも、結果は…
1972年10月から12月まで放送された『突撃!ヒューマン!!』は、異色の特撮ヒーロー番組でした。編集技術を駆使する他番組に、あえて公開収録で挑んだ番組でした。子供たちのナマの声援を受けて変身するヒーロー、ヒューマンは大活躍しましたが、演出で苦労する側面もありました。
打倒『仮面ライダー』で作られたヒーロー
悪の組織や怪人、怪獣たちから守ってくれる強~い味方といえば、特撮ヒーローです。『月光仮面』に『ウルトラマン』『仮面ライダー』などなど、昭和30年代から令和の今に至るまで、数多くのヒーローが登場し、世界を救ってきました。そんななか、ひときわ異彩を放つヒーロー番組があったのをご存じでしょうか? その名は『突撃!ヒューマン!!』です。
日本テレビ系列で1972年10月から12月まで放送された『突撃!ヒューマン!!』は、当時、子供たちの心をわしづかみにしていた『仮面ライダー』に対抗する番組として作られました。
出演者も注目のスターたちで、主役は、失神バンドの異名で知られた大人気グループ・サウンズ「オックス」のメンバーだった夏夕介さん。ヒロインは、その後デビューしてキャンディーズのスーちゃんとして親しまれることになる田中好子さん。ちなみに主役オーディションには、あの松田優作さんも参加していたそうです。
話題性のある出演者もそろえて、ライバル『仮面ライダー』と闘うのですから、ひと味もふた味も違うヒーロー像かと思いきや、物語の設定自体はそれほど珍しいものではありません。
主人公は体操コーチの岩城淳一郎。彼は子供たちの身体を鍛えるために日本中を旅しているのですが、もちろんそれは仮の姿で、正体はヒューマン星からやってきた宇宙人。地球征服をもくろむフラッシャー軍団と闘いながら地球を守っている正義の使者なのです。いわばヒーローものの王道です。
では、『突撃!ヒューマン!!』はどんな手法で『仮面ライダー』に立ち向かったのかというと……収録方法が公開番組スタイルという、斬新な一手だったのです。