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『GODZILLA』から『ゴジラ』へ。日本とハリウッドが歩み寄った、半世紀あまりの歴史

映画『ゴジラ』は、終戦からまだ9年しか経っていない1954年に公開されました。日本人にとってゴジラは「核の恐怖」のメタファーであり、海から現れた「異形の神」でもあります。日本生まれのゴジラは、米国ではどのように受け入れられたのでしょうか。11月3日の「ゴジラの日」を前に、日米のゴジラ観をめぐる相違と理解の歴史を振り返ります。

11月3日は「ゴジラの日」。初代『ゴジラ』が日本で公開

『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)。11月3日(火・祝)17:00~ BS10スターチャンネルで放送予定 (C)東宝
『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)。11月3日(火・祝)17:00~ BS10スターチャンネルで放送予定 (C)東宝

 11月3日は、怪獣王ゴジラの誕生日です。1954年11月3日に、シリーズ第1作となる本多猪四郎監督の映画『ゴジラ』が日本で公開されました。核実験によって目覚めた怪獣ゴジラの異形な姿、円谷英二氏による精密な特撮シーン、志村喬さんや平田昭彦さんらが織り成す重厚な人間ドラマは大変な話題を呼び、日本映画史に残る記録的な大ヒット作となりました。

 米国では『ゴジラ』を再編集した英語版『怪獣王ゴジラ』が1956年に公開され、興行的に大成功を収めます。ゴジラは世界中で愛される人気アイコンとなり、生誕50周年となる2004年には、スターの証であるハリウッド大通りの「ウォーク・オブ・フェイム」にその名を刻んでいます。

 2020年11月3日(火)は「ゴジラの日」を記念して、映画専門チャンネル「スターチャンネル」で特集プログラムが組まれています。ゴジラ、モスラ、ラドンに加え、キングギドラが初登場した『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)が17:00~、ハリウッドで製作されたモンスターバース第1弾『GODZILLA ゴジラ』(2014年)が18:45~、同じくモンスターバース第3弾『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)が21:00~と、日米人気作3本が一挙放映されます。2021年5月公開予定の『ゴジラVSコング』の前にチェックしておきたい作品ばかりです。

ゴジラは単なる巨大生物ではない

 ゴジラの、とにかくデカくて圧倒的な破壊力は、日本人だけでなく、米国人も魅了しました。しかし、必ずしも日本人が愛したゴジラが、そのままハリウッドに輸出されたわけではありません。先述した『怪獣王ゴジラ』は、ゴジラによって東京が壊滅させられていく様子を米国人ジャーナリストが目撃するという構成に修正されています。ゴジラが暴れ回るシーンはそのまま使われていますが、山根博士(志村喬)が最後に語る「もし水爆実験が続けて行なわれるとすれば、あのゴジラの同類がまた世界のどこかに現れてくるかもしれない」という台詞はカットされています。

 やがてハリウッドは、自分たちの手でゴジラを作ることになります。ドイツ出身のローランド・エメリッヒ監督を起用した『GODZILLA』(1998年)です。『インデペンデンス・デイ』(1996年)を大ヒットさせたエメリッヒ監督だけに、ゴジラがNYを蹂躙するシーンは見応えがあったのですが、日本だけでなく米国のゴジラファンからもエメリッヒ版『GODZILLA』は酷評されてしまいます。

 エメリッヒ版『GODZILLA』がブーイングを浴びた理由は明白でした。ゴジラを巨大なイグアナのように描いたからです。ファンにとって、ゴジラは単なる巨大生物ではなく、「破壊神」なのです。人間が畏敬の念を抱く存在でなくてはならなかったのです。

 エメリッヒ監督は、この時の苦い体験を糧にして、かなり日本の文化と歴史を学び直したようです。実録戦争映画『ミッドウェイ』(2019年)は、米国と日本のどちらかに肩入れすることなく、太平洋戦争で亡くなったすべての人たちを敬う作品に仕上げていました。

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