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変化する「プロ棋士とコンピュータ」の関係。昔・ライバル、今・共存共栄、将来は…?

AIを超えた一手が話題に!藤井聡太の勝負勘

ニンテンドーSwich用ソフト『藤井聡太棋士監修の本格将棋トレーニングゲーム』(ゲームスタジオ)。藤井聡太氏自身も、三段時代からコンピュータとAIを研究に導入している
ニンテンドーSwich用ソフト『藤井聡太棋士監修の本格将棋トレーニングゲーム』(ゲームスタジオ)。藤井聡太氏自身も、三段時代からコンピュータとAIを研究に導入している

 2017年当時、「佐藤名人AIに2連敗」よりも大きく報じられたのが、プロデビューしたばかりの藤井聡太二冠(当時四段)でした。すい星のごとく現れた天才少年。この2020年には、ついにタイトルをふたつ獲得、そのタイトル戦のなかで伝説の一手が誕生しました。

 棋聖戦第2局、藤井二冠が指した58手目の「3一銀」。23分考えて指した一手ですが、4億手を読ませたAIではベスト5にも入らなかったものの、6億手読ませると、最善手のベスト1位になる手だったのです。「藤井二冠はAIを超えた!」と話題になりました。さらなる「AI超え」はあるのか? 今後の藤井二冠の活躍が楽しみです。

共存共栄の時代から新たな時代へ

 AIの進化により、新たな可能性が広がりました。「金は守りの駒」「金は3筋より上に動かすな」など、これまでの常識がAIによって否定され、新しい戦略が次々と誕生しました。そのひとつの象徴が「エルモ囲い」。これはAIが発想した新陣形で、2020年4月、優れた新構想に贈られる升田幸三賞に選ばれたのです(ソフト受賞は初めて)。AIの影響で将棋は新次元に入ったのかもしれません。

 あるトップクラスの棋士は「AIは能力を引き出すツール」とコメントしています。高度なAI将棋を使えば、ひとりで学習・研究することができ、棋力を上げることが可能。ということは今後、“天才棋士突如出現する!”というドラマチックな展開も十分考えられるのです。

 天才将棋棋士!その正体は「小学生の女の子」、あるいは「80歳の好々爺」、さらに「10代の外国人女性」……なんてことが起こる可能性もないとはいえないのです。

(久津志雪広)

【画像】AI導入棋士どうしの対戦!「藤井聡太vs豊島将之」108手の結末は…?(4枚)

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