連載20年の『ギャグマンガ日和』 ファンに人気の「隠れ傑作」4選。腹筋が休まらない?
実はファンの多い“偉人”回、そして欠かせないエピソードも!
●第105幕 グラハム・ベルの電話物語(第6巻収録)
『ギャグマンガ日和』には昔の偉人が数多く登場します。総選挙でペリー、ルノワール(セザンヌ)、ハリスと並び人気が高かったのがこのグラハム・ベルのエピソードです。
何かと傲慢でわがままなダメ中年として描かれることが多い『ギャグマンガ日和』の偉人たちですが、この話に登場するグラハム・ベルはシリーズ屈指の卑屈な精神の持ち主。なぜか全く自信のないベルは自身の発明品である電話を「腐ったパンツみたいな臭いがする」と尋常ならざる感性で卑下しまくります。
隙あらば破壊しようとしたり、ドッジボールの球として使用したり……冒頭から筋金入りのネガティブぶりを発揮し続けます。松尾芭蕉や聖徳太子のようにすぐ調子に乗ってしまう人気キャラとは対照的に、周りがどんなに鼓舞しようとも頑として卑屈を貫く、新しい“厄介”の形を提示してくれたキャラクターでした。ぜひとも再登場して欲しい偉人のひとりです。
●第196幕 UFO(第6巻収録)
デビュー作『夢 -赤壁の戦い-』から一貫してUFOは“増田こうすけ劇場”を彩ってくれる存在です。そんなUFOが登場するエピソードのなかでとりわけ読者の票を集めたのは、連載10年を迎えた時期に描かれたこのエピソード。
タイトルもずばり「UFO」です。「おしゃべりだった友人が突如やってきたUFOにさらわれそうになり抵抗するが、友人はその間なぜかまったく喋らなくなる」という増田こうすけにしか生み出せない(描けない)突飛な設定に、心をわしづかみにされた読者も多かったことでしょう。
沈黙を貫きながら宇宙人との攻防を繰り広げる友人を“応援しながら訝しむ”、そんな主人公の本来わかり得ない心境がなぜか手に取るようにわかってしまう不思議な没入体験を可能にしてくれます。毎回、今までにないシチュエーションを用意してくれる“増田こうすけ劇場”の魅力に、どっぷり浸かれること間違いなしのエピソードです。
今回は「ベストオブギャグ総選挙!!」の結果から人気の高い4エピソードをピックアップしましたが、みなさんのお気に入りのエピソードはありましたか? 『ギャグマンガ日和』はあらゆる角度から読者の笑いのツボを刺激してくるので、その日の気分によってマイベストが更新されることだってある、底知れない魅力を持った作品です。
また、キャラクターのTシャツの柄や店の看板にもギャグが隠されているので、読み返すたびに思わぬ不意打ちを受けてしまうことも。このように、読む者を何度も笑わせてくれる『増田こうすけ劇場』が連載20周年を迎え、今も変わらずに続いている……これがどんなに素晴らしいことなのか、改めて噛みしめたくなります。同作は現在も『ギャグマンガ日和GB』として、集英社「ジャンプSQ.」にて大好評連載中です。
(片野)