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『カリオストロの城』公開当時は賛否両論? 宮崎駿氏が仕掛けたトリックとは

宮崎駿監督の劇場監督デビュー作『ルパン三世 カリオストロの城』が、TV放映されます。これまでに視聴率20%台を何度も記録してきた人気作ですが、劇場公開時は大ヒットには至りませんでした。『カリオストロの城』がファンの間で賛否両論となった原因を探ります。

地上波での全国放送は今回で17回目

『ルパン三世 カリオストロの城』 キービジュアル 原作:モンキー・パンチ (C)TMS
『ルパン三世 カリオストロの城』 キービジュアル 原作:モンキー・パンチ (C)TMS

「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」

 銭形警部の名台詞でおなじみの劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』が、2020年11月20日(金)の「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)でオンエアされます。

 1979年に公開された『ルパン三世 カリオストロの城』は、宮崎駿監督の劇場監督デビュー作です。怪盗アルセーヌ・ルパンの孫ルパン三世と相棒・次元大介が見せる冒頭のカーチェイスから、カリオストロ城の時計塔で繰り広げられるクライマックスまで、宮崎監督ならではの躍動感あふれるアクションシーンが満載です。

 地上波テレビでの全国放送は今回で17回目を数え、1999年2月26日の放送では23.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど、常に二桁の視聴率をキープしてきた人気作です。劇場監督デビュー作だけに、宮崎監督が『カリオストロの城』に注いだ情熱と仕掛けには驚くものがあります。

緑ジャケットに戻ったルパン三世

 ヨーロッパの小国・カリオストロ公国を舞台にした『カリオストロの城』は、1977年からスタートしたTVアニメ『ルパン三世』第2シリーズ(日本テレビ系)が高視聴率となり、また劇場版第1作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(1978年)もヒットしたことから企画されました。

 当初はベテランアニメーターの大塚康生氏に監督オファーがあったのですが、劇場アニメとして新機軸を見出すことができずに大塚氏が悩んでいたところ、東映動画(現・東映アニメーション)時代からの後輩である宮崎監督が代わりに監督を引き受けたそうです。

 1978年にNHKで放映されたTVアニメ『未来少年コナン』で監督デビューを果たしたばかりだった宮崎監督は、このとき38歳。劇場監督デビューとしては遅咲きでした。制作期間は6か月と超タイトなスケジュールでしたが、宮崎監督は大勝負に出ます。

 宮崎監督は『カリオストロの城』で、劇場版の前作『ルパンVS複製人間』とも『ルパン三世』第2シリーズとも、大きく異なるルパン像を打ち出したのです。宝石やお金のために働く泥棒ではなく、清純な少女・クラリスひとりを守るためだけに体を張る、大ロマンティストの男にルパンを変えてしまったのです。ルパンの着ているジャケットも、第2シリーズの赤色から第1シリーズの緑色に戻っています。

【画像】百花繚乱!色々なルパンが描かれた、のちの映像作品たち(6枚)

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