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『Dr.スランプ』がなければ「ジャンプ」の躍進はなかった? アニメ黄金期を作った転換点

「週刊少年ジャンプ」作品のアニメが黄金時代を築くより以前、ジャンプ編集部はアニメ化に消極的な時期がありました。そうした歴史を大きく変えたのが、誰もが知っている人気作品『Dr.スランプ』だったのです。

少年ジャンプがアニメ化に消極的だった理由

アニメ『Dr.スランプアラレちゃん』DVD SLUMP THE COLLECTION(ハピネット)
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 誕生から40年以上が経つ『Dr.スランプ』が、その後の歴史に大きな影響を与えていたことを知る人は意外と少ないかもしれません。『Dr.スランプ』が「週刊少年ジャンプ」(以下ジャンプ)で連載を開始したのは1980年5・6合併号からでした。いきなりの1、2話同時連載で、「ずいぶん力を入れているなぁ」と、当時の筆者は感じたことを憶えています。

 そして、連載から数週間ほどで『Dr.スランプ』は「ジャンプ」の人気マンガのひとつとなりました。その人気は急上昇、コミックスも発売され、半年ほどでジャンプ読者以外からも注目されるヒット作品となります。もちろん作者である鳥山明さんは一躍、人気漫画家の仲間入りをしました。

 ちょうどこの頃、アニメ化の企画が動いていました。それは長年放送されていたアニメ『一休さん』(1975年~)の後番組として、東映動画(現在の東映アニメーション)がテレビ朝日と企画していたものです。

 しかし、この企画は途中でとん挫しました。それは、ジャンプ編集部からOKが出なかったからです。

 ジャンプ編集部にはそれ以前からアニメ化に対して不信感があったため、OKが出なかったのです。それはアニメ化前提で連載開始した『マジンガーZ』(1972年~)が原因でした。

『マジンガーZ』はアニメ前提企画だったため、講談社の児童誌「テレビマガジン」にもアニメ放送から少し遅れて連載を始めることになります。当時、専属契約制度を導入しつつあったジャンプ編集部はこのことを問題視して、人気絶頂だったにも関わらず『マジンガーZ』の連載を打ちきりました。

 このことがきっかけで、当時企画がすでに進行していた『侍ジャイアンツ』(1973年)を最後に、『サーキットの狼』、『リングにかけろ』など世間的に大ヒットと呼ばれていた作品があったにも関わらず、ジャンプ作品はアニメ化には至らなかったわけです。もちろん、他にもいくつか理由があったとも言われていました。

 こうして一度はアニメ化が見送られた『Dr.スランプ』でしたが、その企画を惜しいと考えた東映動画は、フジテレビとの企画として再始動します。

 この時、フジテレビが積極的に動いたことで、ジャンプ編集部もアニメ化を承諾する方向に動きました。ただ、あくまでもジャンプ編集部が主導権を握るようにシステムを構築します。これが後に、ジャンプアニメ黄金期を築く基礎になったわけです。

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