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【漫画】起承転結ではなく転転転転! “設定”を盛りすぎた作品の楽しいドタバタ

キャラ設定は、マンガのストーリーを大きく動かすこともある重要な要素です。それでは、もし設定が多すぎると、どのような物語になるのでしょうか? そんなアイデアを、漫画家の奥たまむしさんが実験的な作品として制作。Twitterで発表し、注目を集めています。

4ページに凝縮された怒涛の展開

ツッコミが追いつかないほど、次々と明かされていくキャラ設定(奥たまむしさん提供)
ツッコミが追いつかないほど、次々と明かされていくキャラ設定(奥たまむしさん提供)

 漫画家の奥たまむしさん(@tama_64)が、Twitterで『盛りすぎな設定の漫画』を公開しました。登場人物の特徴や関係性について、タイトルの通りに、これでもかというほど盛りだくさんの設定が詰め込まれた作品です。それらの設定の影響で、ページを読み進めるごとに、物語がクルクルと急展開を繰り返します。

 読者から「毎ページ新情報が出てくるの好き」「展開が早すぎて設定が渋滞起こしてる」「情報量の海に溺れる」との声が集まっているように、目まぐるしい展開を楽しく読める作品です。また、「設定のラーメン二郎」や「カレーに揚げ物とかラッシーがついてる感じ」など、独特の表現で作品を評価しているコメントも目立ちます。

 作者の奥たまむしさんに、お話を聞きました。

ーー奥たまむしさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 pixivというサイトでマンガを趣味で描いていたところ、編集者さんからお声をかけていただいて4コマの読み切りからデビューしました。

ーー『盛りすぎな設定の漫画』を描こうと考えたきっかけを教えて下さい。

 VTuberの健屋花那さんと白雪巴さんの雑談動画を見ていた時、おふたりがある時は相棒、ある時は先輩後輩、ある時はライバル、ある時は恋人!? のように存在が多様であることに大変面白さを感じました。そこで「マンガでもそういうキャラクターを描けないかな?」と考え、キャラに設定をたくさん盛った実験マンガを描いてみました。4ページに詰め込んだのでギャグになりましたが……。

ーーTwitterでは、今回の作品についてご自身で「脳の消費カロリーが高すぎる」とも振り返っていらっしゃいましたが、描くうえでどのような点が大変でしたか?

 今回描いた作品に限れば“秒”で思いついたので、大変ではなかったです。ただ、続けるとなると設定に設定を重ねるため、以前に描いた設定を覚えていなくてはいけませんし、かつ生かしていかないとマンガとして面白くないので、それはなかなかキツいことと思います。

ーー今回の作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声があれば教えて下さい。

 3ページ目に「ちょ! 待てよっ!」というセリフがあるんですが、それを「キムタクだ!」と思ってくださる方がたくさんいました。私は意図していなかったんですが、そのように、読み手の方が設定をさらに想像して盛って下さったりしたところが面白かったです。

『明るい記憶喪失』はコミックスも5巻まで発売中(KADOKAWA)
『明るい記憶喪失』はコミックスも5巻まで発売中(KADOKAWA)

ーー奥たまむしさんは、現在はKADOKAWAの「コミックキューン」で、“百合マンガ”の『明るい記憶喪失』も連載されています。こちらの作品についても、あらすじや見どころを教えて下さい。

 記憶喪失というと悲壮感漂うものが多いですが、実際に記憶喪失になっても超タイプの人間が目の前にいて「あなたと恋人なの」と言われたら喜んじゃうよね? というところから始まったお話です。ギャグ百合マンガで、できるだけ“美味しいシーン”だけを詰め込むように作っています。頭を働かせなくても読めるように描いていますので、気軽に読んでいただけるとうれしいです。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 基本的に思いついたことを実験して検証するようなマンガと、自分の息抜きや鬱憤を発散するマンガの2種類を発表していくことと思います。一般の方にも女の子同士に尊さを見出す“百合”という概念を広めていければなと思っています。

(マグミクス編集部)

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