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NHK放送のアニメ『子鹿物語』、心揺さぶる悲劇的な結末 もう見ることは難しい…

『子鹿物語』は、そして悲劇へ

 特に中盤以降に大水害が発生し、ジョディの両親が20年かけて作り上げた家や畑が大きな被害を受けてから、ストーリーは徐々に厳しさを増していくのです。たったひとりのお医者さんは薬を残して姿を消し、フォダウィングのお兄さんは街の製材所に働きに出、フラッグの食害は大きな脅威となっていきます。

 最終盤ではフォダウィングのところに遊びに行ったジョディは、親友の釣り竿だけを持ち、いつもふたりで釣りをしていた場所で、たったひとり釣りをすることになります。体が弱い人間にとって、水害で医者を失ったのは致命的だったのでしょう。

 さらにジョディには大きな試練が立ちふさがります。かわいがっていたフラッグは大きく成長し、柵を飛び越え畑に侵入するようになってしまったのです。森の奥に置き去りにしても戻ってきてしまうフラッグをなんとかしなければ、一家は飢え死にしてしまいます。

 追い詰められた両親が下した決断はフラッグの殺害でした。ジョディのお母さんがフラッグに銃口を向け発砲しますがとどめを刺すことはできず、フラッグは森へと逃げ込みます。

 傷ついたままのフラッグをこれ以上苦しめないために、ジョディは銃を手に取りフラッグを追い、とどめを刺します。こうしてジョディは少年時代と決別し、ひとりの開拓者として生きる決意をしたのです。当時、リアルタイムで見ていた筆者は『あらいぐまラスカル』のようになんとかフラッグを森に返して終わるのだと考えていたので、まさかこのような終わり方をするとは想像もしておらず、しばらく呆然としていたのを覚えています。

 名作でありながら1995年の再放送を最後に姿を見せていない『子鹿物語』ですが、作中でフォダウィング役を演じる戸田恵子氏が歌うオープニングテーマ「ハロー トゥモロー」は、2008年に発売された『決定盤 NHKみんなのうた』に収録されていたため、今でも聴くことが可能です。厳しい環境のなかでは、人も動物も明日を無事に迎えられるか分からない。しかしそれでも明日にたどり着くために全力で生きている。そんな切ない思いが刻まれた名曲です。もし機会があれば、一度聴いてみてはいかがでしょうか。戸田氏の澄んだ歌声が、あなたの心を癒やしてくれるでしょう。

(ライター 早川清一朗)

【画像】『子鹿物語』の世界を知るなら、原作・映画で

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