新たな「スパイダーマン」ゲームは、黒人文化と社会的メッセージも発信
黒人スパイダーマンが活躍する爽快アクション『スパイダーマン マイルズ・モラレス』が、PS5本体と同時に発売されました。アメコミに詳しいライターが実際にプレイし、今作に込められた魅力を掘り起こします。
新要素が加わり、ゲーム性も前作よりパワーアップ

「スパイダーマン」ゲーム化作品の最新作であるPS5/PS4向けソフト『スパイダーマン マイルズ・モラレス(Marvel’s Spider-Man: Miles Morales)』が、プレイステーション5(PS5)の発売日と同日の2020年11月12日に発売されました。2018年発売の『Marvel’s Spider-Man』の続編。前作でも登場した二代目スパイダーマンことマイルズ・モラレスを主人公に、NYの街を飛び回る爽快なアクションゲームです。
PS5版をプレイしている人にとっては、映像の美しさがより強調された体験になっているでしょう。今まで以上にヌルヌルと動くスパイダーマンをコントロールする快感は想像以上です。PS4であっても透明化の能力が追加されたスパイダーマンや、新しい武器で迫りくる敵など、新しさを十分に感じさせる内容になっています。
今作の新要素で、ゲージを貯めて使う“ヴェノム・パワー”と透明化の“カモフラージュ”がステルスやアクションに良いアクセントを加えており、前作以上の楽しさも。スパイダーマンとは別の能力を持つ二代目スパイダーマンですが、街中を飛び回るウェブスイング時には不安定な姿勢をとるなど、初代スパイダーマンとの細かな違いも表現されています。
前作でも搭載されていた“フォトモード”も、今作の魅力のひとつになっています。プレイ中にゲームを止めて写真を撮影できるのですが、とんでもない数の調整項目が盛り込まれています。撮影した写真を飾るフォトフレームは37種類、ステッカーは約400種類が用意されるなど、こだわりを感じさせる機能です。
一方、ストーリーやサイドミッションなどを含めた物語のボリュームは少なめの印象でした。早ければメインストーリーだけで3時間ほどで終了するので、「続編」というよりは「スピンオフ作品」という見方もできそうです。
しかし、ストーリーは映画1本を見たような満足感があり、スパイダーマンがいる世界観を象徴する「親愛なる隣人」というテーマをきちんと表現しています。アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』でも登場したヴィラン(敵役)、プラウラーも登場し、前作からライノなどのヴィランも引き続きスパイダーマンの前に立ちふさがります。コミック原作や映画とも違うゲームオリジナルシナリオの展開は、ユーザーを楽しませてくれるでしょう。