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西南戦争がなかったら『鬼滅の刃』は生まれなかった? 鬼殺隊と抜刀隊の不思議な繫がり

大ブームとなっている『鬼滅の刃』ですが、主人公・竈門炭治郎や鬼殺隊士が使う「日輪刀」という日本刀も評判で、関連グッズが大ヒットしています。日本刀ブーム再来の予感ですが、実は日本刀の歴史で『鬼滅の刃』を彷彿させるような出来事がありました。それが、西南戦争で活躍した「抜刀隊」です。

『鬼滅の刃』で再び日本刀がブームに!

水の呼吸を使い、日輪刀で技を繰り出す竈門炭治郎。画像は『鬼滅の刃』DVD1巻(アニプレックス)
水の呼吸を使い、日輪刀で技を繰り出す竈門炭治郎。画像は『鬼滅の刃』DVD1巻(アニプレックス)

 映画、アニメ、原作マンガ、そして主題歌も大ヒットし、『鬼滅の刃』ブームは破竹の勢いです。グッズや関連商品も数多く売れていますが、なかでも注目を集めているのが、主人公・竈門炭治郎ら鬼殺隊士たちが使う「日輪刀」。バンダイから発売された玩具「DX日輪刀」も大ヒットし、2021年2月には炭治郎の刀を1/1サイズで再現した「PROPLICA 日輪刀」も販売されるといいます。

 5年前に登場したゲーム『刀剣乱舞』によって、「刀剣女子」といった言葉も生まれるほどの話題になりましたが、今回の『鬼滅』ブームで再び日本刀に注目が集まっています。「日輪」とは太陽という意味で、日光を浴びる以外は不死身である鬼に対する唯一の武器・日本刀という設定になっています。日輪刀は架空のものですが、新たな日本刀文化を育む可能性が出てきました。

 ところで、日本刀の歴史を紐解くと面白い史実に出会います。『鬼滅の刃』の舞台は大正時代ですが、実は明治時代に日本刀文化を救った歴史的な出来事がありました。それが、西南戦争で活躍した抜刀隊なのです。

日本史上、最大最後の内戦・西南戦争で活躍

西南戦争・田原坂の激戦を伝える錦絵(国立国会図書館Webサイトの画像を編集部にて加工)
西南戦争・田原坂の激戦を伝える錦絵(国立国会図書館Webサイトの画像を編集部にて加工)

 1877年(明治10年)2月、私学校の生徒を中心とする不平士族ら約3万人が西郷隆盛を擁して兵をあげ、西南戦争が始まりました。政府軍と西郷軍が熊本周辺で激戦を展開しましたが、当初は西郷軍が善戦していました。というのも、政府軍は徴兵制で集められた兵隊が多く、士気が低かったのです。そこで、政府は「徳川幕府を滅ぼした西郷隆盛憎し」と思っている旧幕臣たちを募集します。こうして集められた警察官や兵隊が政府軍として参加します。

 この内戦で最大の激戦地となったのが熊本の田原坂でした。火力(鉄砲や大砲など)では優位な政府軍でしたが、白兵戦になると、西郷軍は薩摩示現流の必殺剣で斬り込み、政府軍を圧倒します。それに対抗するため、政府軍は剣術に秀でた警察官を選抜して新たな組織を作ります。その名も「抜刀隊」。隊のリーダーを含め、多くの隊員は薩摩藩士が選ばれましたが、遊軍のリーダーには元会津藩士など、旧幕臣も隊員に加わっています。

【画像】『鬼滅の刃』で新たな日本刀ブーム到来? 大人も子供も没入できる「日輪刀」(7枚)

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