魔法少女アニメの先駆け『魔法使いサリー』 大ヒット支えたのは強烈な「脇役」の存在?
みんなに愛される、ダミ声の肝っ玉姉ちゃん
![魔法使いサリー6[カラー版3]」DVD(ユニバーサルミュージック)。よっちゃんと三つ子の弟たちが描かれる](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2020/12/201118-sally-02-300x300.jpg)
個性的なサブキャラ陣のなかでも群を抜いてキャラが濃かったのが、よっちゃんと三つ子の弟たちです。洋館に住み西洋風な容姿のサリーちゃん(なんといっても魔法の国のお姫様ですから……)と、畳敷きに障子、ふすまといった“ザ・昭和”の家に暮らし、空豆みたいな顔におだんご三つ編みヘアのよっちゃんは、対照的な存在でした。
よっちゃんは数年前に亡くなったお母さんに代わって、小学5年生ながら三つ子の弟トン吉・チン平・カン太(三人あわせてトンチンカン)の面倒をみています。この弟たちがいたずらばかりしているので、よっちゃんはいつもダミ声で「あんたたちっ!」と怒っているのですが、その裏には弟たちをどこに出しても恥ずかしくないように育て上げなければという、けなげな思いがありました。
決して裕福ではないけれど、家族が力を合わせて生きているという昭和の家族の象徴こそが、愛すべきパワフルな肝っ玉ねえちゃん・よっちゃんなのです。
そんなよっちゃんの存在があったからこそ、外の世界からきたサリーちゃんは、ひときわキラキラ輝いて見えたのでしょう。よっちゃんは日常、サリーちゃんは非日常。子供たちはサリーちゃんに憧れながらも、より親しみを感じていたのは、よっちゃんだったのです。実際、サリーちゃんごっこでは、よっちゃんのダミ声をマネする子供たちも多かったものです。
愛すべきよっちゃんは、エンディング曲にもとり上げられています。
♪気は優しくておしとやか その上美人で力もち
勉強嫌いが たまにキズ(いいぞ、ねぇちゃん!)
「おしとやか」と「美人」はよっちゃんの言い分ですが、エンディング曲ながらも当時大人気だったこの歌、今でも歌える人は多いのではないでしょうか?
(古屋啓子)