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TV版『エヴァ』衝撃の最終回放送後 『旧劇場版』上映で…「難しい問題」

1995年から1996年にかけて放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は熱狂的な人気を獲得した一方、制作の遅れから25、26 話は当初の予定とは大きく異なる内容が放送され、ファンを唖然とさせました。しかし放送終了から約1か月後に本来のストーリーを描くリメイク版に加えて完全新作劇場版の制作が発表され、ファンを歓喜させました。

『シト新生』上映に、真の『エヴァ』最終回を求めたファンの行列

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』画像はDVD(キングレコード)
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』画像はDVD(キングレコード)

 1996年11月23日、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(以下、旧劇場版)のオリジナルテレホンカード付き前売券を購入するために、筆者はまだ暗いうちから友人たちと一緒に映画館の前に並んでいました。今はもうない、古い映画館でした。この日はとても冷え込んでいて、筆者は『旧劇場版』と聞くとまず、床のコンクリートからしんしんとしみ込んでくる寒さを思い出します。それでも耐えられたのは半年間、固唾を飲んで見守り続けた作品の本当のラストを知ることができる興奮が、心を熱くしていたからでしょう。

 1995年から96年にかけて放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)は、OVA『トップをねらえ』やTVアニメ『ふしぎの海のナディア』を手掛けた庵野秀明監督とスタッフが紡ぎあげた魅力的なキャラクターや演出、深遠さを感じる設定などが人気を呼び、多くのファンをとりこにしていました。知人友人同士でさまざまな考察が行われるだけでなく、普及し始めたばかりのインターネットや、パソコン通信などで活発な議論が行われ、『エヴァ』の人気を醸成していたのです。

 しかし制作の遅れから、「弐拾伍話」と「最終話」は本来の意図とはかけ離れた作品が放送され、ファンを唖然とさせました。筆者もそのなかのひとりで、ビデオテープを巻き戻し、何度も何度も見直し考察を繰り返しましたが、碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーが夫婦扱いされて同時に否定する息の合い方と、パンをくわえ「ちこくちこくー!」と叫んでいる綾波レイのかわいさくらいしか得るものはなかったのです。

 このまま『エヴァ』は終わってしまうのか、いやそんなことはないだろう、何かあるはずだ。そう考え始めていた1996年4月、突然TVの総集編に25話と26話のリメイクを加えた完結編『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』及び、新作劇場版の制作が発表されたのです。

 当然ファンは歓喜し、それまでにも増して多くの考察が為されるようになり、発売されるキャラクターグッズは飛ぶように売れていきました。筆者もどれだけお金を費やしたのかは覚えてはいませんが、UCCコーヒーのアスカ缶は今でもずっと大事にしています。

【画像】複数の「IF」が作られた『エヴァ』の物語

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