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『鬼滅の刃』でみるオノマトペ「がーん!」新時代 炭治郎と星飛雄馬の違いは?

無音を表す「シーン」やショックを受けた時の「がーん」という擬音ですが、実はマンガ由来の表現です。国民的マンガから誕生したさまざまなオノマトペは、実は実生活に大きな影響を与えてきました。では、社会現象を巻き起こしている『鬼滅の刃』ではどんなオノマトペが登場しているのか、擬音の歴史とともに考えてみました。

周りが「シーン」落ち込んで「がーん」はマンガから生まれた

著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻(集英社)
著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻(集英社)

 日本語は世界の中でも「オノマトペ」が豊富な言語だと言われています。オノマトペとは、「本を“パラパラ”めくる」「太陽が“ジリジリ”と照らす」といった擬音語や擬態語を表す言葉です。日常生活のなかで身近なものは、食感を表すオノマトペでしょうか。『ガリガリ君』『プッチンプリン』『ぽたぽた焼き』など商品名にもなっています。

 もうひとつ身近なものはマンガ作品です。例えば、アラレちゃんが走る時の「キーン」や喪黒福造の「ドーン!」など、有名なものがジャンジャン誕生しています。

 オノマトペは、読者に物語の臨場感を持たせる重要な役割を持っていますが、そもそも日本語で一番古いオノマトペも物語のなかに登場していました。日本語学者・小野正弘さんの著書『オノマトペ 擬音語・擬態語の世界』によると、それは『古事記』に登場した、かき混ぜる音「こをろこをろ」。現代では「カラカラ」に相当する表現だそうで、1300年も前からオノマトペが使われていたということは、それほど相手に伝えやすい手法ということでしょうか。

 マンガでの原点はというと、やはり手塚治虫です。無音を表す「シーン」という擬音を発案し、マンガにおけるオノマトペの先駆けとされています。この「シーン」は、静寂した音がない空間に固有の音を与えたすごい発明で、実際リアルな会話でも使われるほど浸透しています。

 手塚治虫が「シーン」を発案して以降、マンガ作品によってさまざまなオリジナルのオノマトペが誕生し、実生活でも使われるようになっています。「シーン」のほか、誰もが知っているオノマトペでは「がーん」。ショックを受けた時の気持ちを表す表現ですが、これは国民的野球マンガ『巨人の星』から。それまでは物理的な衝突音でしかなかったのが、『巨人の星』によって心理状態を表す言葉になりました。無音状態が「シーン」なら、雑音あふれる環境は「ざわ……ざわ……」。こちらは人気マンガ『カイジ』を象徴するオノマトペで、人が騒いでいる様子のほか胸騒ぎの様子を表現しています。今ではバラエティ番組でもパロディとして使われるなど、“ざわざわ=波乱の前兆”というようなイメージが当たり前になっています。

【画像】『進撃の巨人』も擬音の描写が独特

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