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『鬼滅の刃』でみるオノマトペ「がーん!」新時代 炭治郎と星飛雄馬の違いは?

ショックを受けたとき…星飛雄馬は「がーん」、炭治郎は「ズンヌ」

 そして一躍、国民的作品となった『鬼滅の刃』ではどうでしょうか。この作品でも独特のオノマトペが多数登場しています。例えば、第1巻で主人公の炭治郎が妹・禰豆子のために即席でカゴを編むシーンを見てみると……「あみあみあみ」と作業をはじめ、「てーん」と完成。「じゃーん」や「どーん」ではなく、「てーん」と完成するのです。即興で作ったから大したものじゃないけど、品質はしっかりしていることを示す絶妙な表現だと思います。禰豆子はそのカゴに「ぐぐっ」「ばっ」「バタバタ」と入りますが、禰豆子はしゃべれないため擬音で行動や感情を表現されています。これもまた、禰豆子のかわいさを強調し、“禰豆子人気”の秘訣になっています。

 そしてファンの間で密かな人気を集めているのは「ガキュイン」。作中でたびたび登場する日輪刀の“刃同士がぶつかる”オノマトペです。ちなみに同様のシチュエーションで他の作品ではどうなっているのかというと、例えば90年代のヒット作『るろうに剣心』では「ガキィ」(4巻)、2000年代の『BLEACH』は「ガン」(18巻)となっていました。もちろん作風や登場する刀も違うため、どれが良いというわけではないですが、「ガキュイン」では金属がぶつかる高音とバトルシーンのスピード感もうまく表現しています。

 では『巨人の星』での「がーん」は、『鬼滅の刃』ではどうなっているのか……。答えは12巻にありました。修行する炭治郎ですが、“動きがだめ、よく今まで生きてこられたな”と厳しくダメ出しされるシーンです。この言葉に対しては「がーん」でも通じる場面ですが、ここに描かれたのは「ズンヌ」という擬音。言葉の重みがよく伝わります。その他にも、おにぎりを食べる音は「もしゃり」、うどんをすすれば「ぞん」、腫れたたんこぶには「ぶっぱれ」などなど、鬼滅ならではの表現が盛りだくさんです。

 国民的マンガのオノマトペが日常生活に影響してきた歴史を考えると、落ち込んだ時は「ズンヌ」、何かを披露する時は「じゃーん」ではなく「てーん」と表現する日が近いかもしれません。これから『鬼滅の刃』を読破する方は、オノマトペに注目してみるのはいかがでしょうか。

(椎名治仁)

【画像】『進撃の巨人』も擬音の描写が独特

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