昭和世代が忘れられない、アニメEDソング4選。当時は何でもアリだったんだぞ!
TVなどさまざまなメディアで「好きなアニソンランキング」といった特集がたびたび行われています。そこでよく思うのです。「もしエンディング曲限定でランキングを作ったらどうなる?」……実はクセが強かった昭和時代のアニメのエンディングソング、“エンソン”にスポットを当てます。
インパクトを抑えるのがセオリー。でも昭和の時代は自由だった

アニソンといえば、キャッチーなサビが耳に残るオープニング(OP)曲を思い起こす人が多いでしょう。挙げるでしょう。OPは番組のつかみですから、インパクトが大事です。いまや社会現象的なブームとなっている 『鬼滅の刃』ですが、主題歌「紅蓮華」も大ヒットしています。
逆にエンディングソング(以下、略してエンソン)は、印象が薄いというか、映像もOPに比べると単調で地味、あるいは動きが少ないように感じた記憶がありませんか? この理由は、エンディング(ED)では「テロップを見せる」という目的があるからです。画が地味なのは、文字に目線を誘導するという意図を含みます。となると、曲も映像に合わせて地味になりがち。これらが、だいたいエンソンの印象が薄くなる理由といえます。
しかし、昭和時代のアニメではOP、EDともに作品オリジナル曲がほとんどだったためか、かなり自由で、言うなれば何でもアリでした。今回は、もし昭和アニメ限定で「大好きなエンソンランキング」を特集したら、上位にランクインしそうな4曲を挙げてみたいと思います。
●「アクビ娘の歌」/ハクション大魔王(1969~1970年)
歌:堀江美都子 作詞:丘灯至夫 作曲:和田香苗

サブキャラ曲は“エンソンあるある”です。これはその代表。歌は当時新人だった堀江美都子さんで、テロップには「歌・堀江美都子(12歳横浜市)」と表記されていました。小学生と思えない伸びやかで力強い歌唱を、男性のシュビドゥワコーラスが包み込んでいます。
「アクビ娘の歌」は、好評だったからか第14話からOPに差し替えになりました。推測ですがEDにしては映像の動きも多く、テロップも少なかったので最初からそう決めていたのかもしれません。
●「カランコロンの歌」/ゲゲゲの鬼太郎(1968~1969年、第1シリーズなど)
歌:加藤みどり、みすず児童合唱団 作詞:水木しげる 作曲:いずみたく

メイン歌手と子どもの混声合唱も“アニソンあるある”です。「♪カラーンコローン カランカラン コロン」の部分をソロで歌う加藤みどりさんは、ご存知サザエさんの声優。無機質な甲高い声が下駄の音のように聴こえ、世界観を怪しく醸しています。
●「真赤なスカーフ」/宇宙戦艦ヤマト(1974~1975年)
歌:ささきいさお 作詞:阿久悠 作曲:宮川泰

ムーディーなわびしいバラード。OP「宇宙戦艦ヤマト」同様に、作詞は昭和のヒットメーカー阿久悠です。ED歌詞「♪旅立つ男の胸には ロマンのかけらが欲しいのさ」は、OP歌詞「♪必ずここへ帰って来ると 手をふる人に笑顔で答へ」の心情を描いたかのよう。
「真赤なスカーフ」は、メロディとコーラスにささきいさお氏の歌声が胸にしみますが、実は最初にレコーディングしたのは「およげ!たいやきくん」で知られる子門真人氏だったとか。担当者が「イメージと違う」と迷っていたところへささき氏が現れ、歌ってみたらピッタリ! 名曲は完成したそうです。
●「みなし児のバラード」/タイガーマスク(1968~1970年)
歌:新田洋 作詞:木谷梨男 作曲:菊池俊輔

強烈なバラードです。「♪あたたかい 人の情も 胸を打つあつい涙も 知らないで育った 僕は みなし児さ強ければそれでいいんだ 力さえあればいいんだ ひねくれて 星をにらんだ 僕なのさ」
戦後、夢や希望や優しさといった“きれいごと”の裏側で、実は身も心も貧乏で不幸な境遇を恨む本音を漏らすような歌詞。でも、生きる希望が残された、前向きな締めに救われる部分もあります。映像では幼少期の伊達直人が寒風吹く廃墟の町を歩く姿が流れますが、当時これを観た親から「父さんが子供の頃はな…」と、苦労話を聞かされた子供は多かったはずです。
“なんでもアリ”の昭和エンソン名曲はまだまだあるのでまたの機会に。