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「製作委員会」のメリット・デメリット 『エヴァ』や『鬼滅』が目指す新たな形とは

では、製作委員会の何が問題なのか?

 しかし最近では、製作委員会の問題点がしばしば指摘されるようになっています。

 まず大きな問題としては、作品の内容にさまざまな会社が口を出すため、個性的な作品が作りづらい点があります。実際2018年に放送され、毎週主人公の声優を2組起用するなど個性的な作風と演出で話題となった大川ぶくぶ先生原作のTVアニメ『ポプテピピック』では、キングレコードが単独で出資しています。

 また、製作委員会方式では出資者として出版社が名前を連ねることも多く、当然のことながら原作付きアニメの企画が増加することになりました。この25年ほどで数多くのライトノベルやコミックスを原作としたアニメが放送されましたが、アニメの原作消費量は原作の執筆・出版速度よりも格段に多いため、近年では原作の枯渇が絶えず叫ばれる状況となっています。さらにオリジナル企画が通りにくいという弊害も生まれていましたが、近年では原作の不足もあり、徐々に改善されているようです。

 そして何より大きな問題が、制作現場の待遇悪化です。仮にアニメがヒットした場合、製作委員会に名を連ねている企業に出資比率に応じて利益が配分されますが、アニメの制作会社が製作委員会に名を連ねていない場合、金銭的なリターンはありません。オリジナル企画を立ち上げたくても資力がなく、ギリギリの水準で仕事を請けなければいけないので結果現場へのリターンが極めて少なくなってしまい、人が離れるという悪循環に陥っています。

 現在、このジリ貧の状況を改善すべく、多くの企業や人が動き始めています。先述した『ポプテピピック』以外にも、TVアニメ『けものフレンズ』を制作した「ヤオヨロズ」の福原慶匡プロデューサーはアニメスタジオが権利を持ち、グッズの制作販売や配信などを行いたい企業から使用料を取る、もしくは売却するという「パートナーシップ方式」を提唱しています。

 日本で製作委員会が普及するきっかけとなった『エヴァ』でも、新劇場版は庵野秀明氏が代表取締役を務める「株式会社カラー」が単独で製作しています。これはTVアニメヒット時に、現場には何の還元もなかったことが影響しているそうです。

 アニメ『鬼滅の刃』では制作会社であるUfotableが出資を行い、配分を受け取る権利を得るなど、現場への還元を生み出す動きが加速しています。

 また配信サービス「Netflix」はアニメ制作スタジオと提携し、直接資金を提供することでスピーディーに多くの作品を世に送り出しています。

 果たしてこれからどのような形がアニメ制作における主流になるのかは予断を許しません。今はまさに、過渡期と言える状況なのでしょう。

(早川清一朗)

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