マグミクス | manga * anime * game

【金ロー】いま見逃せない『風の谷のナウシカ』の巨神兵。『エヴァ』を読み解くカギに?

原作にはない巨神兵と王蟲との対決シーン

ナウシカと対象的なキャラクターとして描かれるクシャナは、作中で巨神兵の力を手に入れようとする
ナウシカと対象的なキャラクターとして描かれるクシャナは、作中で巨神兵の力を手に入れようとする

 過去に王蟲に襲われ、クシャナは片腕を失っています。旧文明の呪われた遺物である「巨神兵」を蘇らせることが、クシャナの目的でした。かつて人類を滅亡にまで追い込んだ巨神兵の火力を使って、王蟲たちの住みかである腐海をすべて焼き払おうと考えていたのです。クシャナの怒りが、より大きな怒りを呼び寄せます。王蟲たちの大群が迫り、風の谷は風前の灯でした。復活して間もないドロドロ状態の巨神兵が、王蟲と対峙することになります。王蟲の大群と巨神兵との対決は、原作コミックにはないアニメ版だけの見せ場となっています。

 アニメ版では巨神兵登場シーンは非常に短いのですが、このシーンの原画を担当したのが若き日の庵野秀明監督だったことは有名です。大阪から上京してきた無名時代の庵野青年に、宮崎監督はクライマックスシーンを託したのです。まさに天才は天才を知る。宮崎監督の慧眼ぶりに驚きを覚えます。

 比類なき強さと底なしの弱さを同居させた巨神兵の異様さに、思わず目を惹きつけられます。強烈なインパクトを放つ巨神兵の登場シーンを改めて見ることで、1995年からTV放送が始まった庵野監督のブレイク作『新世紀エヴァンゲリオン』 (テレビ東京系)を連想した人も少なくないはずです。

 生体兵器である巨神兵と、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンは、とてもよく似ています。宮崎監督の『ナウシカ』で新人アニメーターだった庵野監督が巨神兵シーンを担当したことが、『エヴァ』誕生の胚芽となったといっても過言ではないでしょう。

『ナウシカ』続編の可能性は?

 アニメ版『ナウシカ』は、ナウシカが捨て身で風の谷を守ろうとするシーンで終わりを迎えますが、原作コミックはその後も物語が続きます。全7巻ある原作コミックの第2巻の中盤までに相当する内容しか、アニメ版は描いていません。その後のナウシカは、クシャナ、クロトワたちとともに、トルメキアともうひとつの大国である土鬼(ドルク)諸侯連合との大戦に巻き込まれていきます。さらには、新しい仲間との出会いと愛するものとの別れ、この世ではない異界への旅立ち、人間の心の闇、世界が生まれ変わるまでが描かれることになります。

 原作コミック『ナウシカ』を全巻読むと、庵野監督は巨神兵のビジュアルだけでなく、『ナウシカ』の世界観や物語性にも強く影響を受けていることがうかがえます。それもあって、もし『ナウシカ』の続編が作られるとすれば、庵野監督が手がけることになるのではないか……ファンの間では、そんな声も囁かれています。

 はたしてアニメ版『ナウシカ』の続編は、実現するのでしょうか。もし、実現するならば、壮大なスケールの作品になることは間違いありません。また、宮崎監督の『ナウシカ』と庵野監督の『エヴァ』は、いろんな面でリンクしています。宮崎監督の意向が絶対であるのはもちろんですが、2021年1月23日(土)に公開される庵野監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がどのような結末を迎えるかも大きく左右するのではないでしょうか。『エヴァ』の“おわり”を見届ける前に、エヴァ神話の“はじまり”となった『ナウシカ』もぜひチェックしてみてください。

(長野辰次)

(C) 1984 Studio Ghibli・H

【画像】『エヴァ』を連想させる? 「火の7日間」と巨神兵のシーン(5枚)

画像ギャラリー

1 2 3