『仮面ライダーストロンガー』伝説級の最終回。7人の集結で第一期は「有終の美」を飾った
今なお続く「仮面ライダー」シリーズ。その最初の大団円だった『仮面ライダーストロンガー』の最終回は、今でもファンに語り継がれる名作となりました。どうして名作となったのか? その秘密を紐解いてみましょう。
最終回まで物語を盛り上げた、異色の敵組織「デルザー軍団」

1975年12月27日。『仮面ライダーストロンガー』最終回「さようなら!栄光の7人ライダー!」が放送された日です。この最終回は単に『仮面ライダーストロンガー』の終わりを告げるというより、第1期仮面ライダーシリーズの最後という形で製作されました。
本作品は、関東と関西で放映局系列が違うことを解消し、TBS系列で放送開始したシリーズです。しかしながら時間帯が変わったせいか視聴率は下降気味で、「まだ人気の高いうちに華を持たせよう」という判断から、シリーズの終了が決まりました。
この判断の良かった点は、作品としての魅力がまだ十分にあった時だからこそ、盛り上がる最終回を製作できたことです。本作品の後半では、それまでストロンガーの敵であった悪の組織ブラックサタンが滅び、デルザー軍団という新しい組織が登場していました。このデルザー軍団こそ、特撮番組史上、もっともインパクトのあった悪の組織です。
構成員すべてが大幹部。それぞれが異なった仮面の戦闘員を従えていました。そして全員が上下関係のない同格、それゆえにそれまでの悪の組織のように首領が存在しません。そのために宿敵ストロンガーを最初に倒したものが首領になるという競争が繰り広げられました。
これにより、それまでの悪の組織が世界征服のために侵略活動を行うという展開でなく、「ストロンガーを倒す」というサバイバル要素の部分がドラマの前面となります。そして、その危機感で当時の子供たちの視線を釘付けにしました。
そのため、仲間同士で足の引っ張り合いをするという展開が多くみられますが、それがなければストロンガーは負けていたという展開が続き、ドラマとしての緊張感はさらに高まります。
この互いが競うという場面を見せるため、デルザー軍団編では1話に2体の怪人が登場し、交互にストロンガーに攻撃を仕掛けました。たとえ1体を倒したところで、もう1体残っている。昭和仮面ライダーでは珍しい連続ストーリーとなっています。
以上の理由などから、デルザー軍団を少数精鋭ながら「特撮番組史上最強の悪の組織」と評する人が多くいました。
その後、ストロンガーもデルザー軍団編中盤でパワーアップしたことで互角以上に戦う力を得ましたが、こういった物語の流れがあったからこそ、日本の危機を知った仮面ライダーたちが世界各地から集結するという、ラストエピソードにつながっていったわけです。