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【シャーマンキング30周年への情熱(21)】神回「恐山ル・ヴォワール」の舞台・青森を訪ねる(中)

●大鬼に破壊される地蔵

恐山で大鬼に破壊される地蔵は、右上の写真手前の六大地蔵。撮影時は冬季閉山の数日前だったため、地蔵が持っていた小物などは外されていた。1998年撮影の写真(右下)を見ると、小物がマンガと同じであることが分かる
恐山で大鬼に破壊される地蔵は、右上の写真手前の六大地蔵。撮影時は冬季閉山の数日前だったため、地蔵が持っていた小物などは外されていた。1998年撮影の写真(右下)を見ると、小物がマンガと同じであることが分かる

 三途の川を越えて行き止まりまで進むと、ついに恐山に到着です。総門の前には広大な駐車場が広がっており、総門の脇には6体の地蔵菩薩が鎮座しています。恐山の本尊は延命地蔵菩薩です。

 作中では、大鬼がこの「六大地蔵」の1体を「パン」と破壊してしまったわけですが、このコマに描かれている門は、正門ではなく横の門です。総門は右に90度首を向けた先に見えます。

●恐山の門

「恐山ル・ヴォワール cinq5」扉ページに描かれている背景は、恐山の山門(右上)。最初にくぐるのが総門で、その次がこの山門となる。下は1998年撮影の写真。左側の赤い屋根のは、イタコが口寄せを行う場所
「恐山ル・ヴォワール cinq5」扉ページに描かれている背景は、恐山の山門(右上)。最初にくぐるのが総門で、その次がこの山門となる。下は1998年撮影の写真。左側の赤い屋根のは、イタコが口寄せを行う場所

 入場料を払って総門をくぐると、真っ正面にこの壮大な山門が見えます。写真で位置関係を確認してみてください。一番手前にあるのが入場料を払ってすぐにくぐる総門、その奥に壮大な山門が見えていますね。写真左の赤い屋根の建物は、恐山大祭などの時にイタコが常駐し口寄せをしてくれる場所です。

 普段、イタコはいません。以前は普通の週末でもひとりふたりいたようですが、現在はイタコの数自体が少ないので、そういったことはないようです。

 なお、誤解されている方も多いと思うのでご説明しますが、イタコは恐山(恐山菩提寺というお寺さん)の所属というわけではなく、お寺の境内を利用して口寄せをしているだけです。寺社の境内で子供たちが遊んでいても無関係なのと同じです。

 恐山の長い歴史のなかで深いつながりがあるのは確かでしょうが、それぞれは独立したものなのです。ですから、お寺の方にイタコについて訊ねても、答えてもらえません。以前、筆者が恐山を訪れた際、観光客の方がイタコについて訊ねていましたが、そういう理由でわからないのだと言われていました。

 また、恐山菩提寺を管理しているのは、むつ市内にある円通寺というお寺さんなのですが、そのお寺の所在地は、前回紹介した「第3章 むつ市街」で鬼が上がってきた田名部川のすぐ対岸です。武井先生はそんなこととは知らずに取材をしたわけですが、奇妙な縁を感じますね。

●岩場でクルクル回る風車

作中の恐山の描写をイメージできる写真(下)
作中の恐山の描写をイメージできる写真(下)

 さて、阿吽(あうん)でお馴染みの仁王像が立っている壮大な山門をくぐって奥に進むと、いよいよ皆さんが良く知る、「お地蔵様」、「ゴツゴツした岩」、「積まれた石」、「風車」……という、恐山独特の地形へと足を踏み入れることができるようになります。

 足場が悪く高低差もかなりあるため、想像以上に疲れます。歩いていると、ところどころで煙が立ち上っていて硫黄の香りがしますが、これは火山性ガスなので、ありがたがって深く吸い込んだりしないでください。
(その他、恐山の岩場の風景は画像ギャラリー参照)

●大鬼が「オノレ……ネコマタ」とつぶやく高台

大鬼が境内を見下ろす場面をイメージできる写真(下)。マンガのように境内を見下ろすことのできる高台は、実際には少し離れたところにある
大鬼が境内を見下ろす場面をイメージできる写真(下)。マンガのように境内を見下ろすことのできる高台は、実際には少し離れたところにある

 大鬼が境内を見下ろすコマの表現は、それほど大げさでもありません。岩場の高いところではこうした場所もありますが、見て回る際に必ず通るわけではないので、将来的に観光を考えている方もご安心下さい。ある程度順路のようなものはありますが、基本的には大きな公園の中を自由に歩ける……というイメージです。

 それにしても、どれほど観光地的であっても、晴天の昼間であっても、「静かに参る」という神妙な気持ちが心から離れません。やはりここは霊場なのだと思い知らされます。

「恐山ル・ヴォワール」の舞台を訪ねる旅は次回で完結します。お楽しみに!

(タシロハヤト)

※掲載写真は全て筆者による撮影です。

【聖地レポート(下)はこちら

【画像】マンガと徹底比較!「恐山ル・ヴォワール」霊場・恐山での戦いの舞台(22枚)

画像ギャラリー

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k