「ポストシャア」と目されたライバルキャラ3人の末路。やればできるのに結果は…
『機動戦士ガンダム』(1979年)の後に、「ポストシャア」と呼ばれた、ロボットアニメのライバルキャラが3人登場していました。しかし、彼らはそれぞれの作品でシャアほどの地位を得られていません。その理由はどこにあったのでしょうか?
ライバルとして認められなかったが、ファンは共感した「ギジェ」
『機動戦士ガンダム』(1979年)のヒットで、そのあとに続く人気作品を思われる作品を、ファンは期待を込めて「ポストガンダム」と呼びます。もちろん富野由悠季監督による作品はそう呼ばれていましたが、同時に『ガンダム』での好敵手であるシャアの人気も高かったことから、主人公のライバルを「ポストシャア」と呼んでいました。
そこで今回は、「シャアの系譜」と言われていた、ロボットアニメの3人のキャラクターに注目したいと思います。
最初は『伝説巨神イデオン』(1980年)に登場したギジェ・ザラルです。『ガンダム』直後の作品だったことで当時のファンの期待値も高く、有能な軍人として描かれていたことで番組開始直後から人気がありました。
しかし、ライバルゆえに連敗するという展開は仕方なかったのですが、どこか情けない印象を与える場面が多くて、シャアほどの盛り上がりは起きません。
シャアと同じく左遷され、戻ってきたときにイメチェンしますが、そこが更なる転落の一歩でした。味方に見捨てられたギジェは敵であるソロシップに潜り込むと、最終的に寝返ります。「破廉恥」と自分を卑下し、自嘲して涙を見せ、傷をなめあうようにソロシップのフォルモッサ・シェリルと男女の関係となるなど、男として情けない姿を次々とさらしました。
こういった弱い部分がファンの共感を呼び、人間的には感情移入できることからキャラとしての人気は高かったのですが「ポストシャア」というライバルキャラとしての地位は確立できなかったのです。
続いては『戦闘メカザブングル』(1982年)に登場したキッド・ホーラ。当初は主人公側の母艦となるアイアン・ギアーで雇われブレーカー(パイロットのようなもの)のリーダーで、エンディングではキャラたちの中心にいたことから活躍が期待されました。
アイアン・ギアーを追い出され、敵であるイノセント配下になってからが本領発揮……とファンの誰もが思っていたのですが、あまり目立った活躍がないまま最終回を迎えてしまいます。
作品的に擁護すると、暗躍してブレーカーにアイアン・ギアーを襲わせるという役割でしたから、目立った活躍がないのは当然かもしれません。
一番の理由は主人公の仇であるティンプ・シャローンがいたことです。このティンプにあらゆる場面で見せ場を持っていかれ、最後の戦いもティンプが務めていました。そのせいで、ホーラは目立たないことが個性にされてしまいます。