特撮界で輝いた「バイプレイヤー」たち。 『ウルトラマン』『ゴジラ』のハマり役も…
怪獣や怪人が暴れ回る特撮ドラマでも、それと同じくらい、いやそれ以上のインパクトを残す個性派俳優たちがいます。しっかりとした演技力で作品を支え、出演作の多くはファンに愛され続けています。特撮の世界で輝きを放った名バイプレイヤーたちを振り返ります。
狂気、知性、誠実さをもたらした先達たち

映画やTVドラマでおなじみの名脇役たちを主人公にした話題のドラマ『バイプレイヤーズ 名脇役の森の100日間』(テレビ東京系)が、2021年1月8日(金)の深夜から放送開始となります。田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さんらベテラン俳優が実名で出演する人気シリーズの第3弾です。
印象に残るTVドラマや映画には、味のある脇役が必ず存在しました。主演俳優がどれだけ人気があっても、主演俳優だけでは物語は成立しません。脇役たちが隠し味やスパイスになることで、作品は味わい深いものになります。
派手な特撮シーンに注目が集まりがちな特撮ドラマやSF映画ですが、味のある演技で作品を大いに盛り上げた名バイプレイヤーたちを紹介します。
空想世界と現実との距離を縮めた小林昭二さん
特撮ドラマの名脇役として真っ先に浮かぶのが、小林昭二(こばやし・あきじ)さんです。俳優座の養成所出身の小林さんは、さまざまな舞台や映画を経験した叩き上げの役者です。小林さんを一躍有名にしたのが、1966年に放送が始まった『ウルトラマン』(TBS系)でした。若いキャストやスタッフが多いなか、年長の小林さんは「科学特捜隊」のムラマツ隊長を実直に演じてみせました。カメラが回っていないところでも、「キャップ」と呼ばれていたそうです。現場で信頼されていたことが分かります。
小林さんのもうひとつの代表作となったのが、1971年にスタートした『仮面ライダー』(毎日放送)です。孤独に戦う仮面ライダーをいつも温かく励ます立花藤兵衛は、シリーズに不可欠な存在となりました。悪の組織「ショッカー」さえも、立花藤兵衛を怪人たちのトレーナーにスカウトしたほどです。「おやっさん」の呼び名で親しまれ、1975年に放送されたシリーズ第5作『仮面ライダーストロンガー』まで、レギュラー出演を果たしています。
活躍の場は、特撮ドラマだけではありませんでした。市川崑監督のミステリー映画『犬神家の一族』(1976年)では、犬神家の婿養子・犬神幸吉を演じました。その後も市川監督は小林さんを起用し続け、『八つ墓村』(1996年)が小林さんの遺作となっています。現実離れした物語でも、庶民的な小林さんが誠実な演技を披露することで、身近なものに感じることができました。脇役ひと筋、実直に歩み続けた名優でした。